「株式小学校」今後の展開は エデューレLCA、代表取締役学園長に聞く

 

 英会話学校の経営に始まり、プリスクール(幼稚園)の運営、そして日本初の株式会社による小学校設立にも乗り出しているエデューレエル・シー・エー(エデューレLCA)。元小学校教諭でもある代表取締役学園長の山口紀生氏は、理想の教育を求めてあくなき挑戦を続けている。“株式会社立”のLCA国際小学校(相模原市緑区)は2018年に設立10周年を迎えた。山口代表取締役に、今後の展開などを聞いた。

 日本語や文化も重視

 --設立10年を迎えたLCA国際小学校は、英語教育に特色がある

 「英会話学校からスタートし、生徒の父兄らからの要望などに応える形でプリスクール、小学校へ広げてきたこともあり、英語教育のノウハウが多くあった。小学校では、低学年の授業の80%、高学年でも50%を英語で行っている」

 --かといって、内容はインターナショナルスクールとも大きく異なるが

 「英語教育が充実しているのは大きな特徴だが、ここでは“日本の教育”もしっかりすることにしており、日本語や日本文化なども重視している。生徒は日本人だからね。合わせて、絵画など芸術と触れ合う機会も充実させている。子供の頃こそ、コミュニケーション力を高め五感を育むことが大切だ」

 繰り返し発話で上達

 --学校以外では、英語教育関連のノウハウ蓄積や教材の外販に力を入れている

 「プリスクールや小学校での実践から生まれた『メトロラーニング』という教材の普及を進めている。英語は繰り返し発話することで上達する。この“繰り返しの発話”をメトロノームのリズムに合わせて楽しくできるようにしたもの。テキスト教材やタブレット端末を使う電子教材などを用意し、幼稚園や学校向けに提供している。企業としては、こうした教材やソフトウエア事業の部分を強化していく方針だ」

 --当面の重点施策は

 「メトロラーニングの普及以外では、名古屋市で設立準備が進む学校をソフト面で支援するほか、東京都が進める英語学習施設『TOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)』にもソフト面で協力していく」

 --将来の目標、展望は

 「協業や協力という形になるかもしれないが、将来的には中学校や高校も手掛けたいと考えている。この学園は“成長”をテーマにしている。成長するのは、生徒だけではない。教員も保護者もだ。その中で、将来の教育のモデルを見つけ出し、提案していく。フランチャイズなどによる学園自体の規模拡大は目指さないが、ノウハウや教育コンテンツについては広く提案していきたい」

【プロフィル】山口紀生

 やまぐち・のりお 横浜国大教育(現、教育人間科学部)卒。相模原市立小学校教諭を経て、1985年に私塾「LCA」を設立。その後、英会話スクール、幼児教室を開設。LCAインターナショナルプリスクール(幼稚園)に続き、2005年にLCAインターナショナルスクール小学部(小学校)設立。08年構造改革特区制度を利用して国から正式な認可を受け、「LCA国際小学校」となり同校校長。16年から現職。65歳。神奈川県出身。

【会社概要】エデューレLCA

 ▽本社=相模原市緑区橋本台3-7-1

 ▽設立=1991年3月

 ▽資本金=6500万円

 ▽従業員=80人

 ▽事業内容=インターナショナルプリスクール(英語で指導する幼稚園)とLCA国際小学校の運営、ウイークエンドプログラム、教育サポート事業