【和歌山発 輝く】デュプロ精工 事務機開発・製造に「こだわり」「思い入れ」

 
デュプロ精工のデジタル印刷機の製造現場=和歌山県紀の川市

 和歌山県北部の紀の川市内に本社を構える「デュプロ精工」は、デジタル印刷機や多機能断裁機などの開発・製造会社だ。「デュプロブランド」として、さまざまな商品を同じ「デュプログループ」の販売網を通じて国内外に送り出している。

 環境展示会で注目

 昨年12月に開催された日本最大級の環境展示会「エコプロ2018」では、小型製紙機「レコティオ」2代目を出展した。

 レコティオは「リサイクル」「エコロジー」「コンティニュー」という3つの英単語を組み合わせた造語。社内公募で選んだ商品名で、リサイクルやエコの観点から紙の命を継続的につないでいくことを使命とし、名付けたという。

 展示会では、何度もプレゼンテーションをして商品の魅力や導入例などを説明。機械内で古紙が再生され、白い紙になって出てくる様子も公開した。環境への貢献に共感も寄せられ、ブースへの来場者は前年対比50%増だったという。

 「再生した紙が繰り返し再生できる。1回再生した紙と10回再生した紙の品質を手と目で比べ、繰り返し再生しても変わらない品質を確認していただけた」と広報担当者。

 会社は1973年に設立された。池田弘樹社長は、大学院の工学研究科で電子工学を専攻した。理系の道に進んだ理由について、「父親から『これからは工業の時代』と勧められたのがきっかけ。モノづくりが好きだし、お客さまに一番近いところだと思っている」と振り返る。

 モノづくりについては「『思い入れ』と『こだわり』が大切」とし、「思い入れがなければいいモノは作れないし、こだわりがなければ“味付け”はできない」と語る。

 池田社長が入社した頃は50人未満だった社員数は現在、200人超までに成長。新工場を増築するなど規模も拡大している。

 社員はエンジニアのスペシャリストらで構成。1分間に190枚という高速で大量に印刷が可能な主力商品のデジタル印刷機「デュープリンター」などの商品開発から設計、製造、完成までを自社が一貫して手掛けている。社内では、社員らが真剣な表情で組み立てや性能確認などをしている姿もみられる。

 全員経営の社風

 「もともとみんなで会社を経営していくという『全員経営』の意識が社内にあった。社内の組織は基本的に『フラット』」と池田社長。対外的な立場のある池田社長を除けば、役職員も含む社員全員が互いを肩書ではなく「さん」づけで呼ぶ文化が根付いている。

 池田社長は「ピラミッド型の組織が好きではない。できれば私自身も『さん』づけでいいのだけど…」と笑う。

 社員の9割以上を県内出身者が占める。池田社長は「より一層の知名度向上を図って地元雇用につなげ、さらに地域に貢献したい」と意気込む。

 福利厚生や地域貢献にも力を入れており、2018年には企業内保育園「ふたば保育園」をオープン。保育士は、全て子会社の社員として採用した。

 社外の子供も預かっており、「仕事を探していたお母さんが結局、うちの社員になったこともあった」と池田社長。

 昨年は創立45周年を記念し、デジタル印刷機を市に寄付。市内の小中学校などで使われている。設置先の各校を卒業生の社員が訪れるなど、地元との交流を続けている。(山田淳史)

【会社概要】デュプロ精工

 ▽本社=和歌山県紀の川市上田井353

 ▽設立=1973年8月

 ▽資本金=3200万円

 ▽従業員=202人(2018年10月時点)

 ▽売上高=57億円(同5月期)

 ▽事業内容=デジタル印刷機、多機能断裁機、メーリング機器、再生紙作製機、事務用省力化機器の開発・製造

■ □ ■

 □池田弘樹社長

 「出来る」と思うことが大切

 --企業経営で心掛けていることは

 「社員だったとき、会社にそんなに資金はなかったはずなのに『するな』とは言われなかった。だから社員には、やりたいことをやれるような体制づくりを心掛けている。社員には愛情を持ったうえで、厳しく人を育てるように伝えている」

 --好きな言葉として「出来る 出来る 必ず出来る やる気が あれば 必ず出来る…」を社内の随所に額に入れて掲示している

 「『出来る』と思わないと出来ないことは事実。まず『出来ない』から入ると実際、まず出来ない。うちは無から有を生み出す仕事だから『出来るんだ』と思うことが大切。そう思ったらトライする、壁にぶち当たる、するとどうクリアするかを考えていくようになる」

 --社員時代に特に学んだことは

 「目標さえ見失わなければ、さまざまな知恵がぶつかってもいいと思ったこと。山登りと一緒で、ゴールは同じ頂上でも、ルートはいろいろある。自分が歩く道とは違って、逆方向に歩く人もいる」

 --企業内保育園をオープンした

 「女性が子育てのために会社を辞めるケースがあり、女性技術者も少しずつ増えてきている中、会社としても辞められるのはもったいないと感じた。長く勤め続けてほしいし、早く復帰できる状況をつくりたかった。近くに保育園があれば、安心して勤められると思った」

 --今後の展望を

 「事業領域の枠の中で、より今の商品を成長させていくとともに、別の領域を立ち上げていくことを常に考えている。『レコティオ』がそう。紙を使って処理していく商品から、紙を再生していく環境に関わる商品になった。私たちの技術があれば、事務機器以外でも貢献できる商品は作れると思っている」

【プロフィル】池田弘樹

 いけだ・ひろき 福井大院工学研究科を修了し、デュプロ製造(現デュプロ)に入社。後に同グループのデュプロ精工に移り、事務用機器の電気関係の開発を担当。常務を経て、1998年から現職。64歳。和歌山県出身。

■ □ ■

 ≪イチ押し!≫

 「レコティオ」 オフィスで古紙再生

 小型製紙機「レコティオ」は、通常は大型の製紙工場やリサイクル工場が行っている古紙のリサイクルを、オフィスで可能にした小型サイズの製紙機。

 2017年に発売した2代目は、初代よりもサイズやコストを3分の2に抑えた。

 一定量以上の古紙をまとめて入れると、繊維段階まで溶解させる一方、印字成分などの不純物を取り除き、白い再生紙がA4サイズに裁断されて仕上がる仕組み。厚みが調整できるので、普通紙や厚紙にもなる。

 裁断した紙切れも再生紙向けに活用できる。製紙工程や物流過程の二酸化炭素排出量を大幅に低減できるほか、溶解から再生まで1台で可能になるため、機密文書が外部に流出する恐れもなく、機密保持対策にも適している。