【eco最前線を聞く】持続可能な水利用で認証取得 サントリー
□サントリーHD・サステナビリティ推進部 内藤寛部長
国内飲料大手のサントリーグループは工場周辺流域の持続可能な水利用に関する認証制度である「アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)」認証を昨年末に取得した。取得したのは鳥取県の名峰、大山の麓にある「サントリー天然水 奥大山ブナの森工場」(鳥取県江府町)で、日本企業の取得は同工場が初めて。サントリーホールディングス(HD)コーポレートサステナビリティ推進本部サステナビリティ推進部の内藤寛部長はAWS認証の取得に当たり「グローバル企業の仲間入りができた」と胸を張る。
◆企業理念と高い親和性
--AWS認証を取得しようとしたきっかけは
「サントリーグループは社会との約束として『水と生きる』というコーポレートメッセージを掲げ、水に関するさまざまな活動に取り組んでいる。一方、AWS認証は世界中の工場を対象とした持続可能な水利用に関する認証で、水の保全やスチュワードシップ(管理する責任)の推進を目的としている。AWSの理念はサントリーグループが2017年に策定した水に関わる活動を行う際の基本理念『水理念』と親和性が高いと判断。昨年9月に申請し、昨年12月28日の取得に至った」
--奥大山ブナの森工場での取り組みは
「液化天然ガス(LNG)を導入したり、雪室を使用するなど省エネに取り組んでいるほか、水の循環・再利用を図り省水を徹底している。例えば容器の洗浄では薬剤を使わない方式を開発し、薬剤のすすぎ水を不用とした。地域とは森林保全の協定を結んだりした。また、工場で採取する水量以上の地下水を涵養(かんよう)できる面積の森を保全するため、水源となる森(計409ヘクタール)を『天然水の森 奥大山』とし、水源涵養活動などに力を注いでいる」
--どんな点が評価されたのか
「科学的データに基づく水源涵養活動をはじめ、工場周辺流域において流入する水の量と流出する水の量との差引勘定である水収支を把握していることなどが評価された。また、流域内のステークホルダー(利害関係者)との連携や適切な情報公開なども評価のポイントになった」
◆地元に愛される工場作り
--今後の展開は
「AWS認証取得をPRしていく。サントリーグループは水を大切に扱うという姿勢を広く伝えていきたい。また、今回の取得に当たって培った知見を使い、今後、他の工場も取得するかどうか検討していく」
--課題は
「自社拠点での二酸化炭素(CO2)排出量をグローバルで25%削減や自社工場での水使用をグローバルで15%削減などを柱とする2030年の環境目標を掲げた。目標達成にはこれまでの取り組みだけでは難しい。先端技術などを活用したり、より徹底した水の循環・再利用などをこれまで以上に続けていく必要がある。地元に愛される工場づくりに注力していきたい」(松元洋平)
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【プロフィル】内藤寛
ないとう・ひろし 1988年サントリー入社。ビール工場・生産部で設備導入計画、省エネに従事。2005年環境部(現サステナビリティ戦略部)、13年から現職。名古屋大学大学院工学研究科修了。55歳。長野県出身。
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【用語解説】アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ(AWS)
世界自然保護基金(WWF)や自然資本連合(NCC)などの国際環境NGO(非政府組織)と企業が2010年に共同で設立した水のサステナビリティーをグローバルに推進するための機関。英北部ノース・バーウィックに本部を置く。AWS認証はフィリップ・モリス、コカ・コーラ、ミラークアーズといった欧米の飲料メーカーなどが取得している。
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