【ピックアップ】日遊協、シンポで未来の遊技産業議論
日本遊技関連事業協会(日遊協、会長・庄司孝輝氏)は「日遊協設立30周年記念式典」で「遊技文化考-産業の本質から未来へのアプローチ-」と題したパネルディスカッションを開催。ワールド・ワイズ・ジャパンの濱口理佳代表が進行を務め、ゲストに宗教人類学者で娯楽文化の理解者でもある植島啓司京都造形芸術大学教授を招請。日遊協会員企業の若手経営者らで組織する新経営者会議のメンバー、マルハンの韓裕社長と京楽産業.の榎本善紀社長が登壇した。
ディスカッションでは、まず「遊技産業の存在意義について」をテーマに掲示。ギャンブルではなく「賭けるという要素を内包した遊び」であるぱちんこが、なぜ日本中の街角に広がり多くの人々から支持を得てきたのか、人々の暮らしに何を与えているのかについて、植島教授が著書「賭ける魂」やフィールドワークにおけるエピソードを引きつつアプローチ。「ぱちんこは単なる遊びではなく、日本の娯楽文化といえるのではないか」と位置付けた。
また、植島教授の説明を受けて、榎本社長は遊技機メーカーの立場から、「のめり込みにも十分配慮しながら、ぱちんこの本質となる適度な射幸性にエンターテインメント性といった射幸性以外の価値を融合させることが重要になってくる」とコメント。韓社長はホールの立場から、諸外国で効果的な施策として潮流となっているレスポンシブル・ゲーミングの考え方に触れ「ぱちんこという遊びを“責任ある遊技”として提供する事業者の責務の理解や取り組みの浸透が必要」との考えを示した。
続くテーマは「これから遊技産業はどのように進化していくのか」。テクノロジーの進化、産業構造の変化、社会環境の変質が人々の認識も変えていくと推察されるなか、5年後から10年後という、新しい世の中での遊技産業の在り方を模索した。
今後の遊技機について「現状の規則では難しいが、ぱちんこも中身のソフトや実機に登場するキャラクターを変えることができるなど、今の時代に合わせて変わっていく必要がある」などと榎本社長が提言する一方、韓社長は「働き方改革による環境変化に対応できる遊び方改革が必要」と指摘。さらに、CSVの概念などを引きつつ、「より健全化を図り社会と共創する産業に進化してゆくことが存続と繁栄へ必要不可欠な考え方である」と述べた。また、彼らの意見を聞いた植島教授はクリス・アンダーソンの著書「FREE」を挙げ、そこにヒントがあると思うと伝えた。
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