【東京商工リサーチ特別レポート】赤字の大塚家具が海外本格進出へ 中国に照準も…業績改善は未知数

 
大塚家具の「有明本社ショールーム」の改装について説明する大塚久美子社長=6月15日、東京都江東区(柳原一哉撮影)

 大塚家具が3期連続の赤字決算となった。大塚久美子社長は国内の家具市場の成長が鈍化するなか、中国市場に活路を見出す意向を示した。海外事業に舵を切る同社の動向が多方面から注目されているが、業績にどこまで寄与するか未知数だ。(東京商工リサーチ特別レポート)

ファンドなどから最大76億円調達へ

 2月15日、大塚家具が2018年12月期の決算(非連結)を発表した。「在庫一掃セール」は好調だったが、当期損失は32億4000万円と3期連続の赤字決算となった。

 大塚家具は、昨年12月に業務提携を発表していた「居然之家(イージーホーム)」に加え、新たに越境ECマーケティングを手がけるハイラインズ(東京都渋谷区)と業務提携した。

 さらに、大塚家具を含む業務提携先3社の緊密先(日・中・台の取引先企業)が組成するファンドから18億円、米系ファンドのEastmore Global,Ltd(ケイマン諸島)から20億円と、合計38億円を第三者割当による新株発行で調達することも決まった。

 これに加えてEastmore社、ハイラインズとハイラインズ代表の陳海波氏を割当先とする合計38億円の新株予約権を発行し、最大76億円を調達することが明らかになった。

 大塚社長は国内の家具市場の成長が鈍化するなか、中国市場に活路を見出す意向を示した。

「日本流サービス」を中国で提供

 中国進出には提携先のイージーホームが持つリアル店舗での協業と、ハイラインズが得意とする越境ECマーケティングや販売促進システムなどECエリアで協業する。リアル店舗では配送システムの効率化などのノウハウ提供やきめ細やかな「日本流サービス」の提供も図るという。

 国内販売では家電量販大手のヤマダ電機と業務提携する。住宅・リフォーム・家具販売を展開するヤマダ電機の「家電住まいる館」事業での提携や将来的な法人営業分野での提携なども検討、シナジー効果を求めていく。

 大塚社長は15日、東京商工リサーチの取材に応じ、「海外ビジネスの本格進出は初となる。相当な努力が必要だが、中国マーケットに熟知する2社の助けを得られることで成功の可能性は上がる」と自信をのぞかせた。

足元の業績回復も大きな課題

 EC事業のスタートは早ければ4月を予定。中国のリアル店舗でのスタートはもう少し時間がかかる見込みで、業績にどこまで寄与するか未知数だ。想定する将来的な売上に占める海外事業の構成比について、大塚社長は「今の段階では見当もつかない」と語った。

 業務・資本提携の発表にこぎ着け、ひと息ついた格好の大塚家具だが、今期(2019年12月期)の業績予想(通期)は、不確定な要素があるため開示していない。

 4期連続の赤字は是が非でも避けたいところだが、黒字化のめどは「慎重に精査している」と述べるにとどめた。海外展開と同時に、足元の業績回復も大きな課題だ。

 大塚社長は「これまで日本の家具が輸出されることはほとんどなかった。海外事業は当社にとって良いチャレンジになる」と期待を示した。

 業務・資本提携を通じ、当面の資金調達はヤマ場を越えた。今後、海外事業に舵を切る同社の動向が多方面から注目されている。

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