乗るログ

「XC40」はボルボの華麗な商品群に埋もれない個性派SUV〈後編〉

SankeiBiz編集部

 ボルボ初のコンパクトSUV「XC40」は、昨年末の2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)の大賞に輝いた話題のモデルだ。最近のボルボ車に対する高い評価は、決して代名詞である“安全性能”の高さだけではない。1月に取材したインテリアデザイナーのコメントも交えながら、前編・後編の2回に分けてXC40の魅力に迫る。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz編集部)

洗練されたスカンジナビアン・デザインもボルボの大きな魅力の一つ
「Rデザイン」グレードのインテリア(東京・青山のボルボ・デザインスタジオ)
スカンジナビアン・デザインを取り込んだインテリア。金属パーツが目を引く
ボルボのデザイン部門上級副社長でインテリアデザインを監督するロビン・ペイジ氏(東京・青山のボルボ・デザインスタジオ)
こんなところにスウェーデン国旗が…ミニに負けない愛国心がデザインに表われている
晴れていれば真後ろにドカンと富士山があるのだが…残念
都会も自然も…どんなシーンにもマッチするXC40
ボルボXC40
トールハンマーをモチーフにしたライトシグニチャーは新世代ボルボのアイコンの一つ
XC40はボディサイドに回り込む「L字型」のランプを採用
ボルボXC40
新世代モデルから採用しているボルボの新ロゴ
ドライバー用の液晶ディスプレイ
後席用の吹き出し口も個性的
ギアセレクター
スイッチ類の造形はジュエリーを意識しているそうだ
内張りにはリサイクル素材を使用
ラゲッジルームがこれだけ大きければ不便はなさそう

 ※前編から続く。

 現在のボルボは中国資本(浙江吉利控股集団が2010年に買収)に支えられている。その潤沢な資金のおかげで開発の自由度が大幅に増すなど、恵まれた環境の中でこれまで以上に「スウェーデンらしさ」を前面に押し出している。XC90から始まった新世代ボルボを象徴する新しいデザイン戦略も、魅力に溢れるラインアップでCOTYなど世界中の賞を総なめにしているボルボの快進撃を支える重要ファクターであるのは間違いない。

 XC40の外観に“違和感”

 新世代ボルボはどのモデルもデザインが洗練されていて上品な美しさがある。特に北欧神話に登場するトールハンマーをモチーフにした「Tシェイプ」のライトシグニチャーは、ボルボの新しいアイコンだ。もちろんXC40のヘッドライトにも採用されているのだが、新ラインアップの中で、なんだかXC40の外観だけ “違和感”のようなものがあった。カッコよさの中にどこか“ブサイク”(失礼!)が入っている気がしていたのだ。ボルボ関係者に聞くと「実はブリティッシュ・ブルドッグが外観デザインのモチーフになっているんです」。目の前の霧が一瞬で晴れた。どこから見ても筋肉質でスポーティーな外観には確かに「犬」らしさがあり、他のボルボ車よりもカジュアルな雰囲気は“ブルドッグ顔”に由来していたのか。ひと目でXC40と分かる個性の強いデザインのおかげで、上級モデルと並んでも存在感が霞むようなことはないのだ。

 車内はお洒落なインテリアショップのような雰囲気があり、コンパクトながらも十分な居住スペースと積載性を確保している。新デザイン戦略では2~3本のラインだけを使ってテーマを捉えるようにしているそうで、ダッシュボード周辺は他のボルボ車と同様に至ってシンプル。ただし、XC40はキャビンを格子柄のアルミパネルで囲むなど若い世代が好みそうな金属パーツが目立つ。ウッド素材を多用して落ち着きのある空間を演出する上位モデルとキャラクターの差別化を図っているのは明らかだ。

 デザインの鍵は北欧のライフスタイル

 実は今年1月、ボルボのデザイン部門上級副社長でインテリアデザインを監督するロビン・ペイジ氏に話を聞く機会があった。

 「新世代ボルボのデザイン戦略を構成する要素の一つが『北欧ライフスタイル』です」

 そのライフスタイルには「北欧デザイン」という要素も含まれている。人々が自然の中でクルマを使って楽しむアクティブな文化や、ファッションや音楽に代表されるクリエイティブな要素が融合されることで「北欧デザイン」が創造されるのだという。

 「XC40の内装には、北欧家具やプロダクトデザインから発想を得たスカンジナビアン・デザインの要素を取り込んでいます。内張りに使用したフェルトは97%がリサイクルされたマテリアルから作られており、残りの3%は色を出す色素です」。これもリサイクルやサステナビリティといった環境配慮への意識が高い北欧のライフスタイルが反映されているように感じた。

 上位モデルにはウッドやレザーなどの高級素材をふんだんに使い、XC40には再生利用したマテリアルを使用しているのだ。XC40は単純に上位モデルをスケールダウンしたわけではなく、しっかりとXC40なりの価値とメッセージ性を持たせているのだ。日本の道路事情でも比較的扱いやすいサイズ感や日常生活におけるコンパクトSUVへのニーズはもちろん、個性溢れるスタイルや北欧文化に接する楽しさ、XC40が発信する価値観に共感したユーザーが、このクルマの魅力に惹かれて指名買いするのだろうと感じた。超高級スーパーカーで来店した顧客が上位モデルには目もくれず、あえてXC40を即買いしたというエピソードを聞いたときは、「このクルマなら十分あり得るだろうな」と妙に納得してしまった。

 昨年末に一部生産が始まったプラグインハイブリッドモデルは、来年以降に日本市場への導入が見込まれているという。さらに幅広いラインアップで顧客の多様なニーズに応えるつもりだ。

 ※前編を読む

《ヒトコト言わせて!》

 ボルボ・カー・ジャパン広報部・長瀬雅紀さん「XC40は、新開発の小型車向け新世代プラットフォームを採用したボルボ初のコンパクトSUVです。高い走行性能と、カジュアルで個性的なエクステリアに洗練された北欧デザインを両立したインテリアを採用し、ライフスタイルやニーズに合わせた、テイストの異なる4つのグレードを展開しています。2018年3月の発売以来、計画比約3倍の好調なセールスを記録しています」

 【乗るログ】(※旧「試乗インプレ」)は、編集部のクルマ好き記者たちが国内外の注目車種を試乗する連載コラムです。更新は原則隔週土曜日。▼アーカイブはこちらから

主なスペック(ボルボXC40 T4 AWD モメンタム)

全長×全幅×全高:4425×1875×1660ミリ

ホイールベース:2700ミリ

車両重量:1670キロ

エンジン:水冷直列4気筒DOHC(インタークーラー付ターボチャージャー)

総排気量:2.0リットル

最高出力:140kW(190ps)/4700rpm

最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1400-4000rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:AWD

タイヤサイズ:235/50R19

定員:5名

燃料タンク容量:53リットル

燃料消費率(JC08モード):13.2キロ/リットル

ステアリング:右

車両本体価格:459万円(税込み)