【eco最前線を聞く】太陽光発電で電気代削減と環境貢献 エコスタイル

 
自家消費型太陽光発電の工場屋根施工事例=滋賀県

 □エコスタイル 法人営業部副部長・藤田幸夫氏に聞く

 企業が環境経営への傾斜を強めていることに対応し、再生可能エネルギーである太陽光発電を活用して環境貢献と電気代削減を同時に実現する「太陽でんき」を提案しているのがエコスタイル(大阪市中央区)だ。今年に入って初期投資ゼロにできる新しいメニューも追加し、現在大企業のみならず、中小企業からも問い合わせが相次いでいるという。同社の法人営業部の藤田幸夫副部長に狙いや展望を聞いた。

 短期で設備投資費回収

 --ここ数年、企業が環境経営に一段と力を入れるようになった

 「世界の平均気温上昇を産業革命前の『2度未満』に抑えるパリ協定や、環境や社会、企業統治に配慮している企業を選別して投資する『ESG投資』などによって、企業が環境保全に自主的に取り組まざるを得ないような状況になりつつある。もはや環境経営抜きにして企業経営が成り立たない時代を迎えている。そんな中にあって『太陽でんき』は電気代を削減しながら環境に配慮した企業になれるという“一石二鳥”を実現できる点が注目されている」

 --「太陽でんき」の仕組みは

 「工場や物流倉庫、病院、スーパーマーケットなどの屋根や敷地内に太陽光パネルを設置して発電した電力を自家消費し、削減した電気代で初期の設備投資費用を回収するのが基本モデルだ。これに加えて、夕方や夜間など太陽光発電で賄えない時間帯の電力についても、必要量を独自にシミュレーションし、新電力など割安な電力会社を提案している。この太陽光発電の自家発電と、電力会社切り替えのダブルで電気代を削減できるのが売り物だ」

 --他社と比べた強みは

 「工場施設に『太陽でんき』を導入した場合、設置場所など諸条件により異なるが、初期投資費用の想定回収期間は当社の場合、7~8年程度が多く、他社と比べて想定回収期間が短いと評価され、採用につながるケースが増えている。約5年となる例もある」

 --なぜ想定回収期間が短いのか

 「理由は2つある。一つが毎年1000~1500カ所の太陽光発電所をコンスタントに施工しているため、リーズナブルな価格で太陽光パネルが調達できることだ。2つ目は、太陽光発電所を自社で施工管理しているため、在庫の削減や施工期間の短縮など一気通貫で行うことができ、コストダウンを図れる点にある。さらにここにきて、中小企業が自家発電を目的に太陽光発電設備を導入する際に適用される税制優遇措置が2年延長になり、さらに想定回収期間が短縮できるようになった」

 自家消費が今後の主流に

 --初期費用ゼロの新メニューもそろえた

 「今年から『PPAスキーム』と名づけ、企業への提案を開始した。PPAはPower Purchase Agreement(パワー・パーチェス・アグリーメント)の略で、電力会社と電力事業者(発電者)との間で締結する電力販売契約のこと。具体的には企業の施設の屋根などに金融機関などのPPA事業者が太陽光発電設備を設置し、企業は契約した期間に使った電力分の料金をPPA事業者に支払う仕組み。太陽光発電設備への投資はPPA事業者が行うため、企業は初期投資が要らずメンテナンスをする必要もない。初期投資費用の予算がなかなか工面できないといった企業の声を受けて商品化した。近く第1号案件が成約する見通しだ」

 --今後の展望は

 「『太陽でんき』は大企業のみならず、今後中小企業の需要増加も見込めるため、今春に法人営業の人員を大幅に増やす予定だ。太陽光パネルで発電した余剰電力を電力会社に売電する固定価格買取制度(FIT)が今年11月から順次期限切れを迎え、買い取り単価も下落が見込まれる中、太陽光発電は自家消費が主流になっていくとみている。この大きな潮流に乗って地球の環境保全、顧客企業の価値向上に役立つ企業になっていきたい」

【プロフィル】藤田幸夫

 ふじた・ゆきお 名古屋大法卒。1983年山一証券入社、個人・法人営業に従事。98年の同社自主廃業後は2社の証券会社立ち上げと株式公開業務に関与。2006年みずほ銀行入行、個人富裕層担当。17年エコスタイルに入社、現職。58歳。愛知県出身。