豊田通商が米ベンチャーに出資 ドローンで輸血用血液輸送

 

 豊田通商がアフリカのルワンダで、小型無人機(ドローン)を使った救急医療体制整備に取り組む米ベンチャー企業に資本参加したことが27日、分かった。ルワンダはICT(情報通信技術)立国を目指し、規制緩和による新技術の導入に積極的。日本企業によるルワンダでの事業展開も進んでおり、アフリカが実証実験の場として日本の技術育成を支援する構図となっている。

 豊田通商が資本参加したのは米ベンチャーのジップライン。インフラが未整備なルワンダは医療品輸送に時間がかかる課題があり、ジップラインは2016年からドローン輸送サービスを開始。輸血用血液をドローンで運び、医療機関の上空からパラシュートで投下するシステムを構築した。

 豊田通商は子会社の仏商社を通じてアフリカでの医薬品販売を手掛けており、将来のドローン活用も視野に入れている。

 ジップラインは当初米国でのサービスを検討したが、規制の壁で頓挫。規制緩和を進めるルワンダでサービスが実現した。ルワンダは昨年の世界銀行の「ビジネスのしやすさランキング」で41位とアフリカで2位。投資プロセスの簡略化や治安の良さ、汚職の少なさが評価されている。

 日本との関係では、国際協力機構(JICA)がルワンダのICT戦略策定時から専門家派遣などで支援。起業を目指す若手が経営などを学ぶ拠点などの運営に関わってきた。

 ソフト開発のレックスバート・コミュニケーションズ(東京都千代田区)はルワンダのIT人材に着目。14年にソフトウエア開発委託の合弁会社を設立した。海外からの帰国組の優秀人材も採用しており、「欧州やルワンダ政府からの受注増で、3~5年で100人規模に増やしたい」(田中秀和社長)と意気込む。

 銀行や交通などの従来型の産業が未発達なアフリカ諸国では、携帯電話や電子マネーなど新しい技術への関心が高い。一足飛びに技術革新が進む「リープフロッグ(かえる跳び)」と呼ばれる現象も起きている。

 起業家支援のサムライインキュベート(東京都品川区)は昨年、ルワンダや東アフリカのベンチャーに投資する子会社リープフロッグベンチャーズを設立。日本企業向けにルワンダで実証試験の場を仲介するサービスを本格化させる。