日本ペイントHD会長に革新投資機構前社長の田中正明氏就任 「私の経験生かせる」

 
株主総会後に会見する日本ペイントホールディングスの新しい代表取締役会長に就任した田中正明氏=27日午後、大阪市北区の日本ペイントホールディングス本社(薩摩嘉克撮影)

 日本ペイントホールディングス(HD)は27日の定時株主総会後に開いた取締役会で、代表取締役会長に産業革新投資機構(JIC)前社長の田中正明氏を選任した。田中氏は大阪市内で記者会見し、JIC退任後に複数の企業から経営参画を打診されたと説明。同HDを選んだ理由は「改革意識を持ち、グローバル化の体制も整った成長企業。私の経験が生かせる」などと述べた。

 日本ペイントHDは海外事業が売上高の7割を占める。米銀行で頭取経験もある田中氏の国際的な人脈や知見を生かし、海外事業を強化したい考えだ。田中氏は今後の事業戦略について「海外展開はM&A(企業の合併・買収)も含めて積極的に行う」と語った。

 同日の株主総会では、取締役の報酬総額の上限を年10億円から20億円に引き上げる議案も可決された。田中氏は会見で「報酬で仕事を選んだわけではない。報酬は指名報酬委員会で決めていただくこと」とした。

 田中氏は昨年12月、JIC取締役の高額報酬や投資方法をめぐり、所管する経済産業省と対立し、社長を辞任。日本ペイントHD筆頭株主のシンガポール塗料大手、ウットラムグループ代表のゴー・ハップジン氏と親交があり、HD会長就任の要請を受けた。

 経済産業省は26日、最大で年1億円超だったJIC経営陣の報酬を3000万円台程度とする新たな指針を発表したが、田中氏は会見で「JICに関するコメントは差し控える。方針も見ていない」と述べた。