「翔んで埼玉」では都庁前を封鎖! フィルムコミッション、都内ロケを円滑化

 
映画「翔んで埼玉」の舞台あいさつに登場した(左から)GACKT、二階堂ふみ、伊勢谷友介=2月、銀座

 東京が今度は、映画の舞台としても飛躍を遂げようとしている。これまで街頭での大規模撮影では警察や消防などの許可が下りにくかったが、東京観光財団が運営するフィルムコミッション(FC)「東京ロケーションボックス」が支援に乗り出し、次々に都内各地がロケに使われた作品が誕生。最近、「埼玉いじり」で注目を浴びている「翔んで埼玉」(武内英樹監督)でも、新宿区の都庁前の道路が全面封鎖されてロケが敢行された。FC関係者は人気作品のロケ地が新たな観光資源になると、意気込んでいる。(吉沢智美)

 東京ロケーションボックスは平成13年に都が設立。その後、公益財団法人の東京観光財団(新宿区)に業務委託された。円滑に撮影ができるよう、ロケ地探しから撮影当日までさまざまな形で支援に乗り出しており、関わった映画やドラマは70作品以上。28年公開の話題作「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督)や昨年に公開され、仏カンヌ国際映画祭の最高賞を受賞した「万引き家族」(是枝裕和監督)なども支援した。

 これまでも都内各地を舞台にした作品はあったが、制作側が独自に撮影申請を行っていたため、施設や道路などの使用許可までのハードルは高かった。撮影期間や予算も限られており、撮影をあきらめるケースも多発。

今年3月に取材に応じた東京ロケーションボックスの後藤久課長(当時)は「映画は東京が舞台だけれど、撮影ができないために地方で撮影してしまうことがあった」と話す。

 公式HPにはすでに学校やホテル、病院などの用途別や場所別に約1700地点の撮影可能な候補地がアップされており、支援作品は増加。その中で「翔んで埼玉」の物語終盤で都庁前の道路を全面封鎖して大規模ロケを敢行した実績は、飛躍への新たなきっかけになりそうだ。

 制作側から都庁前の撮影について相談があったのは昨年2月。新宿署からはなかなか許可が下りなかったが、東京ロケーションボックスが間に入り、周辺施設の了承をどう取り付けるかなどをアドバイス。功を奏し、3月末には道路使用許可が下りたのだという。

 後藤課長は撮影許可までの過程でカギを握るのは、付近道路の交通量と地元住民の受け入れの2点をあげる。都心は交通量が多く、道路の封鎖は影響が大きい。撮影場所に関係する企業や住民も多く、事前告知が大変なのだという。

後藤課長は「撮影を進めるには地域の協力が一番大事。FCが間に入ることで身元の保証にもなり円滑に撮影が進む」と指摘。実際、スタッフらが撮影現場に付き添い、トラブル回避へ細心の注意を払っている。

 さらに「撮影した作品を観光振興に役立てたい」とし、作品にまつわるイベントも企画。「翔んで埼玉」でも2月、千代田区内で、映画で使用した小道具や衣装の特別展を実施した。

 「今回の撮影で大規模ロケの実績を作ることができた」とする東京ロケーションボックス。話題作となった映画やドラマの舞台という新たな東京ブランドの創設に向けて撮影地の拡充に邁進(まいしん)している。