【経済インサイド】サービス開始、みずほFGの「Jコイン」 商標争いにアノ会社も
乱立するスマートフォン決済。新興のIT企業が金融業界に攻め込む構図に、みずほフィナンシャルグループ(FG)はメガバンク初の2次元バーコード「QRコード」を使ったスマートフォン決済「Jコインペイ」で迎え撃つ。3月25日からは地方銀行21行での導入も始まった。同サービスは土壇場で名称変更を余儀なくされるなど波乱含みのスタートになった。「○○ペイ」が雨後の竹の子のように登場する中で、メガバンクが打ち出したスマホ決済も課題が山積している。
他社が出願した名称
みずほFGは3月からサービスを開始し、約60行の地方銀行などにも順次拡大。中国の電子商取引(EC)大手「支付宝(アリペイ)」とも連携しインバウンド(訪日外国人客)需要も取り込む考えだ。
みずほFGが構想を打ち出したのは平成29年9月。その時点での名称は「Jコイン」だった。
ところが30年5月に「J・CION」の商標が他社から出願された。出願したのは、大阪市のベストライセンス。同社はタレントのピコ太郎さんがヒットさせた流行語「PPAP」を商標出願したことでも知られる。
同社は「A・COIN」から「Z・COIN」までと、すべてのアルファベットと「COIN」を組み合わせた商標を出願している。別の会社も30年9月に「J-COIN」という名称を出願していた。
出遅れた格好となった、みずほFGは商標争いを避け「Jコインペイ」という名称にしたという。だが、名称は、サービスに込めた思いなどを如実に表すのも事実だ。
ソフトバンクとヤフー傘下のQRコード使用のスマホ決済サービス「ペイペイ」には「Pay」という言葉を重視し、スマホ決済を根付かせるというソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の思いが込められている。「ペイ」という言葉はすでに商標登録済みだったため使えず、「ペイ」を2回重ねる形にしたという。アプリをダウンロードすれば、どの携帯電話会社と回線契約していても、利用できることをアピールするため、ソフトバンク系列の運営という印象を弱める意味合いもある。
逆にLINEの「LINEペイ」や楽天の「楽天ペイ」など、運営会社の色を強調した名称は、自社サービスとの連動性をアピールする狙いがある。
NTTドコモは「ペイ」という言葉をあえて使わず、スマホ決済に「d払い」と名付けた。ドコモは「複数の名称を検討した結果、親しみやすさなどから名称を決めた」としている。ただ、ドコモは27年にすでに「dpay」を商標登録しており、サービスの名称をめぐる知的財産戦略のしたたかさもみせる。
有力地銀は参加せず
Jコインペイは、ふたを開ければ有力な地銀はほとんど参画していない。ふくおかFG傘下の福岡銀行や親和銀行、熊本銀、コンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)傘下の横浜銀行や東日本銀行は、決済処理代行を手掛けるGMOペイメントゲートウェイが開発したシステム「銀行Pay(ペイ)」を利用し、Jコインペイへの参加を見送った。5月から開始するゆうちょ銀行の「ゆうちょPay(ペイ)」も銀行ペイを採用しており、同じ決済システムを採用する銀行と、相互連携にも対応する予定だ。
スマホ決済の普及には、知名度の向上や加盟店の開拓など、地道な営業活動が必要だ。先行するIT大手は、利益度外視の大規模な還元施策や、自社サービスとの連携などでの利用者の利便性改善に腐心している。最初の名付けでつまずき、前途多難な船出となったJコインペイの巻き返しに注目される。(高木克聡)
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