【5時から作家塾】腕時計型から靴、そしてイヤホンへ 広がるウエアラブル市場

 
デジットソールランプロファイラーサイクリング
アップルウォッチシリーズ4

 近年、日常生活の中で歩行・走行距離や、消費カロリー、心拍数などの生体情報を取得できるウエアラブル端末が次々に登場している。なかでも普及が目覚ましいのがスマートウォッチだ。そのトップを走るのがアップルのアップルウォッチであり、調査会社ストラテジー・アナリティクスの調べによれば、2018年における世界全体でのアップルウォッチの出荷本数は2250万本で、全スマートウォッチ出荷本数の約半数に相当する。

 しかしウエアラブル市場は下着を含む衣類、靴、メガネ、指輪、イヤホンなど、様々な形態へと広がりを見せている。特に近年注目されているのが、靴だ。

 実はかなりの歴史を持つ「靴のウエアラブル」

 靴で走行距離を計測するというアイデアは、実はかなり以前からあり、商品化もされている。プーマは1986年に、かかとに内蔵したチップで距離や時間、消費カロリーを自動的に記録し、ケーブルを通じてパソコンにデータを転送するという、画期的なランニングシューズ「RSコンピューター」を発売した。同社は昨年末に、デザインや基本機能は当時のモデルを踏襲しつつ、ケーブルではなくBluetoothで情報を送信、パソコンに代わりスマートフォンのアプリでデータを管理する復刻版を、たった86足のみだが、販売していた。

 靴の中敷、いわゆる「スマート」インソールを開発しているのがデジソールだ。同社は数年前より、スマートフォンのアプリと連動させることにより、歩数カウントや消費カロリーの計算、さらに発熱させて足を暖めるなどの機能を備えた、様々な靴の中敷(インソール)を提供している。そして今年はさらに機能を進化させ、自転車愛好家向けの「デジットソールランプロファイラーサイクリング」を発売した。GPSを使ったスピードや走行距離の測定に加え、ペダリングテクニックの分析、筋肉を強くするための計測と分析、疲労部位の特定と分析による怪我のリスクの解析まで行えるという。つまり自転車をこぐ人の足の裏から様々な情報を収集、そのデータをBluetoothでスマートフォンに送信、アプリで解析するのである。同インソールはクラウドファンディング経由で日本でも販売中だ。

 生体情報を計測可能なインソールやスマートシューズについては、ほかにも開発に取り組んでいる企業がいくつもある。たとえばアシックス、パナソニック、神戸大学は、靴底のセンサーによって走行距離などの運動データを収集するだけでなく、振動により発生する圧力を電力に変換する発電素子を靴の中に入れることで、電池のいらないスマートシューズを共同開発している。

 また韓国のサムスンは昨年12月、かかとにセンサーを内蔵したスマートランニングシューズの特許を取得しており、製品化されるかどうかは置いておくとしても、関心を持っていることが判明した。グーグルの親会社アルファベット傘下の生命科学部門ヴェラリーも、スマートシューズを開発中と報じられている。

 イヤホン型のウエアラブルにも期待がかかる

 そしてもうひとつ、生体情報の収集が可能なウエアラブルとして期待されているのがイヤホン型のウエアラブルだ。こちらは靴や中敷とは異なり、まだ商品化はされていないが、日本のサルーステックが市販のイヤホンで脈波などの生体信号を測定する技術を開発しているほか、NECが、スマートフォンやパソコン、スマートテレビなどを介して、インターネットに接続し、様々なサービスが利用可能な「ヒアラブル」デバイスの開発に取り組んでいる。

 またアップルも、昨年生体センサーを内蔵したワイヤレスイヤホンの特許を取得しており、いずれは同社の完全ワイヤレスイヤホン「エアポッズ」に、生体情報を取得可能な機能を搭載するのではないかとの噂もある。

 アップルといえば、冒頭で触れたアップルウォッチの最新版であるシリーズ4では、心電図を測定可能な機能(日本では使えない)と転倒を検出する機能が追加された。心電図機能による心臓の異常の早期発見や、転倒を検出したアップルウォッチの自動救助要請により、命が救われたケースがすでに世界中で何件も報告されている。ウエアラブルは今後さらに形態を増やし、多機能化しながら、市場を拡大していくと思われる。(岡真由美/5時から作家塾(R)

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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