【オリパラ奮闘記】「デザイン」の持つチカラ

 
2020年東京五輪の陸上競技の「ピクトグラム」

 東京五輪・パラリンピック開催まで、それぞれ残り500日を切りました。500日前のタイミングでは、今後大会を盛り上げていく、さまざまなツール類が組織委員会から発表されました。その中でも、今日は情報伝達を目的に作られた「スポーツピクトグラム」に関してお話ししたいと思います。ご存じの方もいるかと思いますが、このピクトグラムは、1964年の東京オリンピックがきっかけで世の中に広く普及したといわれています。当時、まだ海外からの観光客も少なく、外国語でのコミュニケーションが難しかった日本において、“コトバに限定されないツール”として若手デザイナー中心に開発されたものです。今では、トイレ表示や非常口などのデザインが有名ですね。

 誰もが一瞬で内容を理解できる完成度の高いピクトグラムを開発したことはもちろんですが、彼らのすごかったところは、「広く社会に還元すべきだ…」という考えから著作権を放棄したこと。このことが、世界的にピクトグラムが広まった要因といわれています。

 スポーツピクトグラムが発表されてから毎日、通勤や仕事中、街中で出合うピクトグラムを意識して見るようになりました。普段何げなく見ていたものも、先人の方々のおもてなしの心や信念の表れであり、それが世界的なレガシーとなっていると思うと何か誇らしい気持ちになります。皆さんも、少しそういった気持ちで見てみませんか?

 (君原嘉朗=アシックス2020東京オリンピック・パラリンピック室室長)

 きみはら・よしろう

 昭和46年6月10日生まれ、福岡県出身。平成6年にアシックスに入社し、27年から現職。組織委員会のHP内で2020年東京五輪・パラリンピックのピクトグラムを全種類確認できます。どれも瞬時に競技種目を認識できるのは当然ですが、とても親しみ深い柔らかいデザインなのが印象的です。