【健康経営 がんと向き合う】がん保険の選び方 GMS・竹内規夫社長
保険は万が一に備えて加入するものだ。自動車保険などはほとんどの人が任意で加入している。命に関わるので当然加入すべきだが、命に関わる事故が起こる確率はそんなに高くはない。それでも万が一が起きると人生が変わるので、それに備えて保険に入る。
これに対し、がん保険は自動車保険に比べて加入者が少ない。2人に1人ががんになる時代で、命に関わるにもかかわらずだ。もっと多くの人ががん保険に対して前向きになっていいと思っている。今後ますます寿命が延びると、がんはもっと身近な病気になるはずだ。
がん保険のメリットはお金の面だけではない。治療に選択肢があったときに、本当にお金を考えずに最良の治療を選ぶことができるのかという問題もある。例えば300万円の貯金があったとする。治療を行う度に貯金は減る。治療後の生活なども考えると、貯金を使うことを躊躇(ちゅうちょ)し、最適な治療が選べないということがあるかもしれない。
がん保険は、仮に同じ300万円を使ったとしても、基本的には治療をしたら保険金が支払われるという仕組みが多く、積極的に最適な治療を選ぶことができる。
がんが治らないことも多く、いつまで治療が続くか分からないということもある。がん保険に入っているとそういう場合も安心だ。
がん保険で保障される内容は大まかに(1)がんと分かったら給付される一時金(2)入院・手術の費用(3)通院費用(4)先進医療の費用-の4つに分けられる。他にも、がんになった際の保険料免除や、長期にわたる保障期間、治療期間に減った収入のサポートなど、各保険会社の商品には特色がある。
ちなみに、保険商品はがん保険に限らず、新しいものの方が良い商品になるという傾向がある。特に医療制度が大きく変わるときなどには、それに合わせた保険商品が販売される。古い保険商品は使いにくいということにも注意が必要だ。
がん保険選びでは何に注目すべきなのか。自分のライフスタイルに合った保険を選ぶのが最善だが、あえてポイントを挙げるとしたら、保障期間の長さや診断給付金の多さに重点を置く必要がある。
診断給付金はがんだと分かったときに支払われる。他の給付金と違い、何に使ってもいい。最近は保険対象外でも優秀な治療が増えている。そういった場合でも診断給付金は使えることから、その金額が大きい保険はいろいろ使い勝手が良いということになる。
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【プロフィル】竹内規夫
たけうち・のりお 1978年、和歌山県生まれ。がん治療コンサルタント。2008年ごろから、がん患者をサポートする活動を開始。16年、がん治療専門のコンサルタントが、患者をサポートするGMSを設立し、社長に就任。
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