【5時から作家塾】肉のようだけど肉じゃない! 「インポッシブル・フーズ」最前線

 
CESで無料配布されていたインポッシブル・スライダー
インポッシブル・フーズのトラック、CES会場にて

 健康志向が高まるなか、「肉」を食べない選択をする人が増えている。なかには健康上の理由から肉を食べる量を減らしている人もいるだろう。

 しかし、牛肉はやっぱりおいしい。ベジバーガーでは物足りない……そうした人々の需要に応えようと開発を進めてきたのが、カリフォルニア州を拠点とするインポッシブル・フーズだ。同社の牛肉を使わない「インポッシブル・バーガー」は2016年から地元カリフォルニア内のレストランで提供開始され、2019年5月時点では全米およびアジアの7000軒以上の飲食店のメニューに加えられている。

 同社の急成長の秘密はその味と食感にある。筆者は今年1月に米ラスベガスで開催された全米最大規模の家電見本市CESで無料配布されていた「インポッシブル・バーガー」を食べたのだが、パテは限りなく肉に近い味だった。知らずに食べたら、植物由来の材料で作られたものとは思わなかっただろう。もちろん見た目もいたって普通のハンバーガーだ。

 この時に食べたものが、同じ1月にハンバーガー・チェーン店ホワイトキャッスルが西海岸店舗限定で販売開始した「インポッシブル・スライダー」である。

 そしてインポッシブル・フーズは4月、大手ハンバーガー・チェーン店バーガーキングと提携、ミズーリ州セントルイスの59店舗において、「インポッシブル・ワッパー」の提供を開始した。

ワッパーというのはバーガーキングを代表するハンバーガーの名称で、インポッシブル・フーズとバーガーキングが共同開発した、ワッパーの「牛肉ではない」バージョンがインポッシブル・ワッパーだ。

 さらなる「巨大チェーン店との提携」

 前後して、日本でも店舗展開するウマミバーガー、そして全米で500店舗以上を展開するファミリーレストラン、レッドロビンも、インポッシブル・バーガーを提供開始しているが、バーガーキングとの提携は意味合いが異なる。同社は米国内だけで7200店舗、全世界では17000店舗以上を持つ巨大チェーン店なのだ。

 そしてバーガーキングは5月、セントルイスに加え、ジョージア州コロンバス、アラバマ州モンゴメリー、そして本社のあるお膝元フロリダ州マイアミの3地区においても、インポッシブル・ワッパーをメニューに追加すると発表した。今年末までには全米7200店舗すべてで提供する予定だという。実現すれば同店は、植物由来のバーガーを販売する全米最大規模のバーガーチェーン店となる。

 同時にインポッシブル・フーズのバーガーが食べられる店舗数も一気に拡大する。5月時点では7000軒強だが、今年末には2倍以上まで確実に増えるだろう。

 しかもインポッシブル・バーガーを提供しているのはレストランだけではない。大学などの教育機関、テーマパーク、美術館や博物館、球場などのスポーツ施設でも導入が進んでいる。

 当然といえば当然だが、あまりにも急速に店舗数が増えたために、生産が追いつかない状態だという。インポッシブル・フーズはカリフォルニア州オークランドのパテ生産施設の稼働時間を延長、従業員数を増やして対応している。7月には生産量を倍増させるべく、第2の生産ラインを立ち上げ、秋にはフル稼働体勢に入る計画だ。

 さらにインポッシブル・フーズは今年末には米国内のスーパーマーケットにおいて、焼いていないパテの発売も予定している。

 タコスもターゲット

 植物由来の素材で作った「肉」を提供しているのはインポッシブル・フーズだけではない。カリフォルニア州に本社を構えるビヨンド・ミートも、大手ハンバーガー・チェーン店カールス・ジュニア向けに「ビヨンド・フェイマススター・バーガー」、タコスチェーン店「デルタコ」向けに「ビヨンド・タコ」を提供している。

 こうした「肉ではない肉」ブームは米国にとどまらず、今後さらに広がっていくだろう。メニューもハンバーガーやタコスだけでなく、もっとバリエーションが増えるかもしれない。(岡 真由美/5時から作家塾(R)

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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