ノルウェーでは初の5割超え 世界で普及競争が激化する電気自動車

 

 今回ご紹介するお話は、電気自動車(EV)に関する話題です。昨2018年8月10日付の産経ニュースの本コラム「米テスラが苦境から抜け出せないワケ…納車遅れと中国の制裁関税

で、米国のEV大手、テスラモーターズのお話を中心に、EVを巡る各国の状況などを簡単に紹介しましたが、地球温暖化対策や環境保全に対する意識の高い欧米では、EVの普及が着実に、そして予想以上の速度で進みつつあるようです。今回の本コラムでは、そんなEVを巡る世界の動きについてご紹介します。(岡田敏一)

 EV普及、米国わずか1.2%だが、実は…

 4月2日付の米公共ラジオ(NPR)や翌4日付のCNN(いずれも電子版)などが報じているのですが、北欧のノルウェーでは、3月の新車の販売台数のうち、半数を超える58.4%がEVだったそうです。新車の販売台数でEVがガソリン車やディーゼル車を抜いたのは、環境保全への意識が高いノルウェーでもこれが初めてだと言います。

 NPRなどの欧米メディアは、ノルウェーの独立系の団体「道路交通情報評議会(OFV)」の数字を引用。それによると、3月の新車の販売台数は1万8375台で、うち1万732台は、地球温暖化の主原因とされる二酸化炭素(CO2)や排出ガスをまったく出さないゼロ・エミッション車。この数は昨年の3月の約2倍で、内訳を見るとほとんどがEV(4台だけが水素自動車)だったのです。EVの販売台数急増の理由は2017年から販売が始まった米テスラの量産型セダン「モデル3」が年初から欧州でも販売され、納車が始まったからで、実際「モデル3」の販売台数は、全体の約3割を占める約5300台でした。

 一方、ガソリンエンジンと電気モーターといった複数の動力源を使って走る「ハイブリッド車」の販売台数は3469台で、昨年の3月に比べて10%もダウン。ガソリン車とディーゼル車の販売台数は過去最低を記録しました。

 前述したように、3月の急増の理由は米テスラの「モデル3」なのですが、それ以前からノルウェーではEVの販売台数が大きく伸びているのです。なぜかといいますと、2016年に、ガソリン車やディーゼル車などの販売を2025年までに完全禁止する方針を打ち出し、EVの購入促進のために、さまざまな優遇措置を設けているからです。

 例えば、EVのようなゼロ・エミッション車を購入した場合、ガソリン車やディーゼル車には課される25%の付加価値税(VAT)が課されないほか、重量税や環境税の一種である炭素税や窒素酸化物税も課税されません。さらに、駐車場やフェリーの利用料、有料道路の通行料などで割引サービスが受けられます。

 もともとノルウェーは、ほぼ全ての電力を水力発電でまかなうなど、クリーンなエネルギーに恵まれたお国柄であるうえ、世界銀行の調べによると、1992年から2017年までの25年間で、国民一人当りの平均所得(年収)は約3倍に増えて6万4000ドル(約710万円)に。高額なEVを購入できる富裕層が増えているようです。

 国際エネルギー機関(IEA)の調べによると、コンセントから差し込みプラグを使って直接バッテリーに充電できる「プラグインハイブリッド車」を加えたEVの販売シェアは、2017年だと、世界一がノルウェーで39%、2位のアイスランドが12%、3位のスウェーデンが6%で、ノルウェーが突出しています。ちなみにこの数字、中国は2.2%で、米だとわずか1.2%…。

 ところが、そんな米でもEVの販売台数が増え始めています。米の業界サイト「InsideEVs」によると、2017年に19万9826台だったのが、2018年には36万1307台と約1.8倍に。とはいえ、米の場合、ガソリン代が安いため、多くの人々がEVに切り替えるのは経済効率が良くないと考えているフシがあるなど、いくつかの課題が残っています。

 ノルウェー電気自動車協会(NEV)のクリスティーナ・ブー事務総長は、ロイター通信(4月1日付)に対し「今年1年間で(EVの)販売シェアは50%を超えると確信している」と自信を見せました。

 EVの普及に本腰を入れているのは実はノルウェーだけではありません。昨年7月26日付のCNNビジネス(電子版)は、ノルウェーのほか、インドやフランス、イギリスがガソリン車やディーゼル車の完全禁止をめざしており、少なくとも10カ国がEVの販売目標を設定しているなどと説明。具体的に、イギリスが大気汚染防止のため、2040年からガソリン車とディーゼル車を販売禁止とし、2050年までに全ての車をゼロ・エミッション車にする方針を打ち出したことや、フランスが地球温暖化防止策の一環として、2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売禁止を決めたこと、インドが2030年までに国内の車を全てEVにする考えを示したことなど、近年の各国の動きを列挙。

 さらに、オーストリア、中国、デンマーク、ドイツ、アイルランド、日本、オランダ、ポルトガル、韓国、スペインではEVの公式販売目標を設定しており、米国では、連邦政府による具体的な政策は決まっていないものの、少なくとも8州が目標を設定しているなどと説明しています。

 そのうえで<(各国の)政治家たちは、自国がどれだけ早く環境に優しくなれるかを世界に示すため、競争している>と明言しました。

 今回のノルウェーのニュースが示すように、世界の動きに照らせば、日本でもEVのさらなる普及策が求められそうです。

【岡田敏一のロック講座】秘話、80年代のハード・ロックとヘヴィ・メタルブーム

 マイケル・ジャクソンやマドンナ、プリンスといった数々の大スターが生まれ、ロック音楽が世界の若者文化の中心に躍り出た1980年代、全世界で空前のブームを巻き起こしたハード・ロックやヘヴィ・メタル。

 全世界で米のガンズ・アンド・ローゼズの「アペタイト・フォー・ディストラクション」(87年)が3000万枚、米のボン・ジョヴィのアルバム「ワイルド・イン・ザ・ストリーツ」(86年)が2800万枚と、多くのハード・ロックやヘヴィ・メタルのバンドが怪物級のヒットを記録。世界中の若者のファッションやライフスタイルにも大きな影響を与えました。

 そんな80年代のハード・ロックやヘヴィ・メタルのブームを支えた代表的なバンドの逸話や、当時の欧米の音楽業界の裏側について、音楽誌「レコード・コレクターズ」( http://musicmagazine.jp/rc/ )の常連執筆者で、かつてロサンゼルス支局長としてガンズやモトリー・クルーといった「LAメタル」を生み出した米ロサンゼルスで米の映画・音楽産業を取材した産経新聞文化部の岡田敏一編集委員が解説します。

 ■時と場所 6月29日(土)午後2時~3時半、サンケイカンファレンス大阪梅田桜橋(大阪市北区)

 ■参加費 2800円

 問い合わせ・応募はウェーブ産経事務局((電)06・6633・9087)。受け付けは平日の午前10時~午後5時。

 産経iDのサイト( https://id.sankei.jp )からも、お申し込みできます(産経iDは登録が必要です。入会金・年会費は無料)。

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 【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家、産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で連載中。京都市在住。

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