話題・その他

「オウンドメディア」活用広がる 理念・姿勢 社外に直接訴え

 トヨタ自動車やIT企業のサイボウズ、日用品大手ライオンなど企業が「オウンドメディア」と呼ばれる自社の媒体を活用した独自の情報発信を強化している。新聞やテレビを介さず、ウェブサイトなどで取引先や顧客に理念や姿勢を直接伝え、理解を広げる狙いだ。

 トヨタは1月、「トヨタの内側を見せる」をコンセプトにホームページ「トヨタイムズ」を立ち上げた。豊田章男社長が販売店や部品メーカーに改革の決意を語った場面を取り上げるなど、経営陣の生の言葉を伝える。

 トヨタは電動化など次世代技術の開発を加速しており、ソフトバンクなど異業種との協業も増えている。豊田氏は「一緒に闘う仲間に、ファクト(事実)や数値を超えた思いや体温までさらけ出さなければ一枚岩になれない」と説明する。

 サイボウズはホームページ「サイボウズ式」を開設し「週休3日制は本当に実現できるのか」など、働き方やチームワークを取り上げた約800本の記事を載せた。

 藤村能光編集長は「製品をPRするのではなく、読者の知りたいテーマを選んでいる」と話す。閲覧者は月10万~15万人に達するといい、認知度向上や売り上げ拡大に手応えを感じている。

 ライオンは生活情報サイト「Lidea(リディア)」を運営する。洗剤の開発者など専門性の高い社員が洗濯や掃除、子育てなどに役立つ記事を執筆している。

 広報戦略に詳しい電通パブリックリレーションズ(東京)の井口理執行役員は、企業の発信が増える中で新聞やテレビについて「情報の信頼性を担保し、読者の公平な判断を助ける記事が求められている」と指摘する。