SDGs 資金協力と企業活動での貢献宣言を
最近、日本で行われる国際会議やセミナーなどで、多くの方が虹色の円形のピンバッジを胸に着けているのにお気づきの方も多いのでないか。これは「SDGsピンバッジ」というもので、国連が2015年に定めた、SDGs(持続可能な開発のための2030アジェンダ)に賛同し行動する“しるし”だ。世界全体が均衡をもって持続的に成長するために17の項目をグローバルに掲げて、それに向かって30年までに169の達成基準を設けて、大学、政府機関、組織が具体的に取り組むこと。国家はこれを先導するために法律に落とし込み、予算を確保しないといけない。(旭川大学客員教授・増山壽一)
その目標は、貧困をなくす、質の高い教育、エネルギーをクリーンに、リサイクル促進、気候変動への具体的な行動など。今日の日本では猫もしゃくしもSDGsという呪文を唱えて、ピンバッジを胸に着けて「私はこの運動に賛同しています」ということを示すことが進歩的な経営者であるという証しになっている。
また、金融界も未曽有のカネ余りの現状の中、何を指針に融資をすればいいのか悩んでいた中で、世界的にもSDGsに賛同する企業への投資が推奨されることもあり、SDGs投資として、単なるスローガンだけでなくお金と結びつき始め、にわかに皆の熱心度が高まっている。ただ、このピンバッジは、米アマゾン・コムでもどこでも簡単に購入できる。
運動を推奨する国連はピンバッジの使用に関して、この活動に賛同する組織などのロゴと一体として、この活動を資金的に推進するためにおいて認めていることを忘れてはならない。
つまり、ピンバッジを着ける以上は、自らの会社の社章と一緒に着けて、SDGs活動を推進するために資金的な出資をする覚悟を示す必要があるとういことだ。
ここからが日本の中小企業の本番。会社のPRの場などで、ピンバッジと会社のロゴとともに、17の目標のどれかに資金的にもコミット(約束)する覚悟を持った上で、目標と照らした会社の貢献などを冒頭に話し、是非宣言をしてみてはどうか。
そうすることで世界的な運動の真ん中に自らを置くことができる。形式的な金融界主導のこの運動を、むしろ逆手にとって世界にPRし活用したい。日本の元気な中小企業にとっては、これらの目標はある意味当たり前のことともいえるはずだ。
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【プロフィル】増山壽一
ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大学客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。環境省特別参与。56歳。