テレワーク、IT発達で進化 全社員が常時実践の会社も
ITの発達で働く場所の自由が拡大している。職場から離れた場所で働く「テレワーク」が進化。社員全員が常時実践している会社や、地方在住のまま東京のIT企業の技術者として活躍といった事例が増えている。生活と仕事、どちらも犠牲にしない働き方が新時代にさらに普及しそうだ。
沖縄で東京の仕事
「東京の会社で労務の仕事をしていますと言うと『えっ?』と驚かれる」。沖縄県北中城村で夫と1歳の長男と暮らす比嘉まさみさん(41)は、3年前から東京のベンチャー企業「キャスター」で働いている。インターネット回線とパソコンによる完全な在宅勤務だ。
オンライン上でのアウトソーシング(外部委託)事業を手掛けるキャスターは全社員がテレワーク。本社オフィスも実質的に存在しない。業務委託を含め700人以上いるが、働く場所は自由。ほとんどは地方で在宅勤務をしており、比嘉さんのような子育て中の女性も多いという。
比嘉さんは那覇市出身。市内の税理士事務所で働いたが、結婚で北中城村に引っ越した途端、通勤が車で片道1時間以上に。「通勤時間が無駄と思った。運転も苦手だった」。在宅の仕事を必死に探して出合ったのがキャスターだった。
所属する労務チームは3人。千葉県、宮崎県に住む他のメンバーと頻繁にビデオ会議を開く。「ITツールが発達したので、会社に出勤してやるのとほぼ変わりはない」。学校を出た後、県外で働く夢もあった。「今は沖縄にいながらにして、その思いがかなっている」と満足そうに話した。
IT企業「ダンクソフト」(東京)は「社員の生活や人生をサポートする」目的で各地にサテライトオフィスを設置したり、遠隔地での在宅勤務を認めたりしている。
徳島市のオフィスにいるのがプログラマーの竹内祐介さん(40)だ。東京の大学を卒業後、地元・徳島市のIT企業に就職したが、10年目に突然、東京転勤を命じられた。子供が生まれるタイミングだった。「豊かな自然がある徳島で子育てをしたい」という思いから退社。そんなときに徳島県内でテレワークの実験をしていたダンクソフトに出合い、2012年に入社した。
徳島オフィスは常時、ビデオ会議システムで東京本社とつながり、まるで本社の隣で仕事をしている感覚だ。テレワークは「仕事と家庭をてんびんにかけないといけない局面が減る。会社にも離職防止のメリットがある」。柔軟な働き方ができ、保育園の送り迎えなどをすることも多い。今一番楽しいのは「子育て」と笑顔で語った。
重度障害者に活用
障害者雇用の現場でも活用が進む。データ入力やホームページ制作を手掛ける「クオールアシスト」(東京)は移動困難な重度障害者ら40人以上を、在宅勤務の社員として雇う。
三重県四日市市の田辺千晴さん(21)は小学校のときに交通事故に遭い、首から下が動かなくなった。特別支援学校を卒業後、障害者向けIT講座で描画ソフトの使い方を学び、17年3月に入社した。フルタイムではがきやポスターのデザインをしている。
赤外線操作システムを利用し視線でパソコンを自在に動かす。同僚とは音声会議システムでつながる。入社3年目に入った田辺さんは「働くことで自分に自信が付いた」と目を輝かせる。週末は球技ボッチャの練習や大会で忙しく、毎日が充実しているという。
クオールアシストの青木英社長は「全国には能力の高い人がたくさんいる。動けないという理由で働けないのはもったいない。今は技術の発達でどこでも働ける」。今後も積極的に人材を発掘し雇用を進める方針だ。
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