Jプラが機能刷新、モバイル端末利用も視野に
特許庁と独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)はこのほど、インターネットで提供中の特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」(Jプラ)の機能を刷新した。
Jプラは、どのような人や企業がいつ、どのような内容の特許、実用新案、意匠、商標を出願し、権利を得たのかどうか、それらに関連して特許庁はどのような処理・対応をしたのかなどの情報について、誰でも無料で検索し、閲覧できるようにした公的サービスである。その検索利用回数は年間1億回を超えている。
情報データベースの整備や高度情報通信ネットワークによる情報提供を国が進めることは、知財基本法の基本施策の中に規定されている。
Jプラの課題の一つは、使いやすさにある。今回、トップページから特実意商の4種類の情報を任意のキーワード(人名、企業名、技術用語など自由)で一括検索できるようにした。世界の公的サービスでも初の試みだ。
「ネットの世界がパソコンからスマートフォンへとだんだんと広がっているように、使い勝手のいいデバイスに特許情報を提供するためのインターフェースを備えていくことは必要ではないか。普及という意味ではフルスペックでなくてもいいのでは」と話すのは、INPIT知財情報部長の宮本純氏だ。今後の開発の方向性として携帯端末の活用拡大を示唆する。
情報の高度活用の観点からは各種の機能の提供も課題だ。利用者は素人層だけではなく、集めた情報を管理したり、戦略に生かすため可視化したりしたいという要望を持つ利用者も少なくない。民間商用サービスを使えるだけの予算がない大学や中小企業の研究・技術者、知財担当や事業担当などに加えて大企業での利用も実は多い。
今回の機能刷新では、(1)審査・審判の経過情報など提供の迅速化(2)権利消滅商標情報の追加(3)中・韓国語の特・実文献の日本語検索機能の追加(4)日英機械翻訳にニューラル機械翻訳技術を導入(5)検索した情報の出力方法の改善-なども行った。
一方、Jプラの機能刷新に関し、「民間の情報会社が有料で提供する商用サービスに近づいている」(都内情報サービス会社トップ)という声も一部で上がっている。(知財情報&戦略システム 中岡浩)