劇場アニメ増、人不足懸念 ヒット作で解消期待 効率化も急ぐ
2016年公開の「君の名は。」の大ヒットが起爆剤になったこともあり、新作アニメ映画の企画が相次ぎ、今年から来年、劇場公開を控える大作がめじろ押しだ。制作量が現場の処理能力を超える「19年クライシス」への懸念がささやかれる一方、ヒット作が続き人材が集まる好循環への期待も高まっている。
「大作アニメの公開が控えていて、人材を集めるのが大変な状況だった」。そう話すのはNHK連続テレビ小説「なつぞら」の磯智明チーフプロデューサー。オープニングをはじめ、劇中ではアニメを使った演出が欠かせない。アニメ監修を務める制作会社代表に骨を折ってもらったという。
「君の名は。」の新海誠監督による「天気の子」のほか、人気ゲームを原作とした「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」「二ノ国」、シリーズ完結作の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」…。いずれも多くの集客が期待される大作が、来年までに公開予定だ。
「大作だけでなく、中小作品の劇場アニメも増えている」と語るのは、アニメ産業研究家の増田弘道さん。日本動画協会によると、08年に31本だった劇場アニメのタイトル数は、17年には84本に増加した。
増田さんが原因の一つとして指摘するのが、テレビの地上デジタル放送への移行だ。テレビ画面の縦横の比率が映画で利用される比率になり、解像度も高精細になって映像を作り込むようになったため、映画化のハードルが大幅に下がった。その結果、ヒットしたテレビアニメの劇場版を作ることが増えたという。
加えて、興行収入が250億円を超えた「君の名は。」のヒットに後押しされ、大作の企画が進行。アニメの制作現場は慢性的に人手不足だったが、いよいよ能力の限界を迎えるのではないかという「19年クライシス」が懸念されてきた。
東映アニメーションの清水慎治常務も「絶対的にアニメーターが少ない」と話す。対策として強調するのが、作業のデジタル化による効率化。技術の進展は目覚ましく「背景なんかはほとんどデジタルでやっている」状況だという。
業界に混乱が起きることはあり得るのか。増田さんは「テレビアニメのエンディングに静止画を多用するなど、クライシスを乗り越えるため苦肉の策とも呼べる工夫をしている」と指摘。
さらに、制作本数を抑える意識が働いてもいるとして、否定的な見解を示した。
劇場アニメの大作が続くことで新たなヒット作が生まれることへの期待もある。清水常務は「ヒット作を作るのが(人手不足の)一番の解決策。すごく面白いアニメを作れば人は集まる。だから僕は悲観していない」と語った。
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