【5時から作家塾】“巨人”ディズニー、Appleも参戦 競争激化、定額制動画配信サービス

 
米国で11月12日にスタートする「ディズニー・プラス」
AppAnnieによる2018年の世界10カ国における動画配信アプリの利用時間調査

 定額で映画やテレビ番組などの動画コンテンツが見放題になる動画配信サービス市場が、近年急速に拡大している。なかでも世界的に勢力を伸ばしているのが、ネットフリックスとアマゾンプライムビデオだ。しかしこの勢力図が、来年は大きく変化するかも知れない。

 シェアを伸ばす外資系

 定額制動画配信サービスとは、毎月決まった額の課金で番組が見放題になるというもので、ほとんどのサービスが月額千円程度で契約できる。これまで主流だったDVDレンタルと比べ、返却の手間がなくコストパフォーマンスもよいということで、利用者が増えている。

 日本国内の状況を見てみよう。調査会社ジェム・パートナーズが今年2月に発表した2018年の国内動画配信市場の推計、各サービス会社の市場シェア調査結果によると、定額制動画配信サービスの市場規模は推計で1680億円、シェア首位はディーティービー(ドコモ)で13.7%、2位はフールーで11.6%、3位はユーネクストで11.1%となっている。ちなみにフールーのみが外資(ディズニー傘下)、残る2社が日本企業である。

 しかし同社によれば、この上位3社はいずれも前年からシェアを落としており、特にディーティービーは前年から4.4ポイント減と下げ幅が大きい。

 一方でシェアを伸ばしているのが外資系サービスだ。アマゾンプライムビデオは2018年の9.5%から9.8%、ネットフリックスは6.4%から8.9%へとシェアを拡大している。

 市場参入、ディズニーの強み

 世界的に見てもこの2社は強い。AppAnnieによる、2018年の世界10カ国における動画配信アプリの利用時間調査によれば、調査対象となった国々の多くで、5位以内にネットフリックスとアマゾンプライムビデオが食い込んでいる。同社の調査には定額制動画配信以外の動画配信サービスも含まれているため、定額制に限定すれば、さらに多くの国々のランキングで、両社のサービスが上位に入ってくるだろう。

 しかしこの勢力図は、今年秋以降大きく塗り替えられるかも知れない。ディズニー、そしてアップルが、同市場への参入を明らかにしたからだ。

 昨年末に新しい動画配信サービスの開始を発表していたディズニーは今年4月、11月12日よりまず米国で、新しい動画配信サービス「ディズニー・プラス」を開始すると発表した。

 ディズニーの強みは何といっても所有するコンテンツの豊富さにある。お馴染みのディズニー・アニメはもちろん、米国の三大ネットワークの一つである放送局のABC、スポーツ専門放送局ESPN、映画スタジオ20世紀フォックス、「トイ・ストーリー」などCGIアニメ制作のピクサー、ジョージ・ルーカスの設立したルーカスフィルム(「スターウォーズ」シリーズなど)、「アイアンマン」「アベンジャーズ」などで有名なアメコミ大手マーベル、先述した動画配信サービスのフールーなどを傘下に収めているため、幅広い分野のさまざまなコンテンツを提供することができるのだ。そのため、動画配信サービス開始を発表した当初から、「ネットフリックスの対抗馬」になると目されている。

 潜在的な加入者が期待できるアップル

 モルガン・スタンレーは「ディズニー・プラス」について、2020年末までに1300万人の加入者を獲得すると予想しており、傘下のフールーやESPNプラスの契約者を合わせると5000万人に達すると見ている。

 そしてこの秋米国で始まるもう一つの注目株の定額制動画配信サービスが、アップルの「アップルTVプラス」である。同社は3月のイベントにおいて、著名監督や俳優を起用した独自番組を含む動画コンテンツを、新サービスにおいて提供すると発表した。

 アップルの武器はiPhoneだ。動画を視聴する人々の多く、特に若者は、テレビではなくスマートフォンを利用している。2019年3月末時点で、全世界で使用されているiPhoneの台数が1億9300万台(アップル発表数字)ということは、「アップルTVプラス」の潜在的な加入者が相当数存在することを意味する。

 「ディズニー・プラス」「アップルTVプラス」ともに、日本でのサービス開始時期はまだ発表されていないが、いずれは視聴可能になるだろう。その時、日本の定額制動画配信市場にも、大きな変化が訪れることになる。(岡真由美/5時から作家塾(R)

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己氏の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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