メーカー

素材など一新、「和モダン」な建具で若者に魅力を

 ガラス製ふすまや幾何学模様の障子

 日本人の暮らしと密接な存在だった和室だが、近年は生活様式の変化で減少している。ふすまや障子などの建具を製造する会社も苦境に陥った。そんな中、大阪府八尾市にある会社は建具の素材やデザインを一新。若者に魅力を伝えようと、大学生と一緒に古民家の再生にも取り組む。

 美人画がプリントされたガラス製のふすまや、幾何学模様の障子。「和モダン」の様式を取り入れた製品がショールームに並ぶ。「谷元フスマ工飾」は、八尾市の町工場が集まる一角にある約40人の中小企業だ。ふすまや掛け軸を取り扱う表具店として1946年に創業した。

 戦後、洋風建築の増加で和室は減少。国の統計では、2016年時点で表具業の事業所は1980年代の半数以下になった。

 「親のやり方を続けるだけでなく、新たな挑戦をしなければ先はない」。2003年に東京のIT会社を退職して3代目となった谷元亨社長(45)は、デザイン性を追求し、派手で奇抜な色合いのふすまを製造。ところが、展示会では「どの居住空間にも合わない」と業界関係者に酷評された。

 それでも「ふすまはうちのアイデンティティー」と試行錯誤を繰り返し、たどり着いたのが風鈴や桜などの模様を描いたカラフルな引き手。ふすまにさりげないアクセントを加えた。年間数十個だった販売数は現在900個ほどに増加。付け替えも可能で、絵柄は300種類を超える。

 「和洋どちらの部屋にも合うように」とガラス製のふすまや、客が木枠のデザインを自由に決められる障子も発売。ホテルのロビーや商業施設で使われる例も増えた。「外国人旅行客の増加で日本の伝統文化が注目されている。チャンスは十分ある」と話す。

 6月には、近くにある近畿大の学生と協力し、築約50年の木造長屋の改修事業を始めた。学生と話し合いながら製品を設置。完成後は賃貸アパートに生まれ変わる予定だ。谷元社長は「若者に和室建具の魅力を知ってほしいし、私たちも若い感性を取り入れたい」と目を輝かせている。

【用語解説】和モダン

 ふすまや障子など日本らしさのある素材を使いつつ、現代風のデザインを融合させた様式。星野リゾート(長野県軽井沢町)が運営するホテルや、住友林業(東京)が展開する民泊用マンションにも取り入れられている。近年は空き家の増加で、古民家の風合いを残して改修するリノベーションの手法も注目されている。