【鉄道業界インサイド】「時差Biz」で通勤を楽におトクに 22日開始、各社の手法にも注目

 

 7月22日から首都圏鉄道各社は夏の「時差Biz」のキャンペーンを開始する。通算5回目の開催となる今回の時差Bizでは、オフピーク時間帯に駅の自動改札を通過するとポイントが付与されるキャンペーンの拡充や、指定の列車に乗ることでポイントを付与する新たな取組みも行われている。通勤を少しでも楽に、おトクにするための最新情報を紹介しよう(本稿で紹介した以外にもキャンペーンは行われている。詳細は利用する鉄道会社ホームページを参照してほしい)。

 東京メトロのオフピークプロジェクト

 東京メトロは今年4月から「メトロポイントクラブ(メトポ)」を活用した通年のオフピークプロジェクトを実施している。通年開催中の東西線では平日朝、東葉高速鉄道線と東西線西船橋~門前仲町間で、ピーク時間帯を避けて乗車(定期券利用者も含む)すると、時間帯によって10~25ポイント(10P=10円)が付与され、参加回数に応じてボーナスポイントも設定される。

東京メトロ東西線のオフピークプロジェクト対象駅(東京メトロHPより)

 また駅構内の混雑緩和を目的に、平日朝のピーク時間帯を避けて有楽町線豊洲駅の改札を出場、または銀座線新橋駅の改札口を入場するとポイントが付与されるキャンペーンも9月6日まで開催中だ。参加には事前にPASMOの登録が必要だが、通常通り自動改札機を通過するだけで自動的にポイントが貯まる仕組みだ。(http://www.metpo.jp/

時差Bizなどの取組を総称した「スムーズビズ」を告知する大手町駅のサイネージ(写真・SankeiBiz編集部)

 東京都交通局でも独自のポイントサービス「ToKoPo」を活用した取り組みを行っている。都営地下鉄各駅(一部除く)と日暮里・舎人ライナー各駅の自動改札を、平日の7時30分まで、または9時30分から10時30分までに出場した利用者にポイントが付与される。参加にはToKoPoの登録が必要だ。(https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/tokopo/index.html

東京都交通局のポイントサービス「ToKoPo」(東京都交通局HPより)

 電車内でポイント取得も

 JR東日本の「夏の早起き応援キャンペーン」は、7月22日~8月30日の間、事前登録したSuicaで10回以上、中央線高尾~中野駅間、青梅線拝島~立川駅間、総武線千葉~浅草橋駅間のいずれかの駅から乗車し、山手線各駅または中央線御茶ノ水~千駄ヶ谷駅間で6時~7時45分に下車した人を対象に、抽選で500 名にJRE POINT 10,000ポイントが当たるキャンペーンだ。利用回数が増えると当選確率も増える仕組みだ。(https://www.jreast.co.jp/hayaoki2019summer/

 上記の地下鉄、JRのキャンペーンは駅の自動改札機を使った取り組みだが、今年は電車内でポイントを取得する新たな取り組みも始まっている。

 それが、京急電鉄が7月1日から開始した、ポイント付与アプリ「KQスタんぽ」を活用した混雑緩和キャンペーンだ。京急は所要時間の短い快特など優等列車に乗客が集中する一方、普通列車は混雑率が低い傾向にある。そこで、平日7時30分から9時まで、上り平和島~品川駅間の普通列車に乗車した利用者限定でポイントを付与しようという取り組みだ。

 自動改札機を活用したポイント付与は、どの時間帯に駅を利用したかは分かっても、どの列車に乗っていたか判別することはできない。そこで京急は普通列車の車内スピーカーから人間の耳では聞き取れない非可聴音を信号として流し、これをアプリで認識することで普通列車の乗客だけにポイントを付与する仕組みを構築したのである。

 未知数な部分も

 参加には京急のポイントサービスへの登録が必要。「KQスタんぽ」アプリをダウンロードし、必要事項を入力して登録を完了したら、対象時間帯の自動車内放送(通常放送および英語放送)に合わせアプリを操作すると、1日20ポイント、年間約4000円相当のポイントが付与される。非可聴音を使ったアプリはJR東日本でも採用例があり、認識に問題はないと思われるが、スマホ操作を中断してアプリを起動、操作する手間がどれだけ受け入れられるかは未知数だ。

京急電鉄のポイント付与アプリ「KQスタんぽ」

 また東急電鉄は7月22日~31日の平日8日間、臨時列車として運行する田園都市線の「時差Bizライナー」、東横線の「時差Biz特急」(いずれも特別料金などは不要)車内で、東急線アプリ利用者にBluetooth通信を利用してクーポンを配信する。こちらは期間中、車内に発信機を設置するものと思われるが、アプリをバックグラウンドであっても起動して置けばプッシュ送信されるので利用者の手間は少なく、確実性も高い。

 どういった手法が利用者の支持を集めるか、まだ試行は始まったばかりだが、乗客を特定の列車や号車に細かく誘導することができるようになれば、オフピークキャンペーンの可能性はさらに広がることだろう。(※今回は第3木曜日に掲載させていただきました)

【プロフィール】枝久保達也(えだくぼ・たつや)

鉄道ライター
都市交通史研究家

1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。

【鉄道業界インサイド】は鉄道ライターの枝久保達也さんが鉄道業界の歩みや最新ニュース、問題点や将来の展望をビジネス視点から解説するコラムです。更新は原則第4木曜日。アーカイブはこちら