eco最前線を聞く

利害関係者全体に問題解決呼び掛け 大丸松坂屋百貨店

 大丸松坂屋百貨店CSR担当部長・中村康隆氏

 J.フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店は低炭素社会の実現に向け、二酸化炭素(CO2)排出量を2030年に17年度比40%削減し、50年にはゼロを目指す。その一環として今年3月、本社コアビル(東京都江東区)で使用する電力を全て再生可能エネルギーに切り替えた。百貨店事業所では全国初という。また環境に配慮した商品の調達にも乗り出した。本社総務部の中村康隆CSR担当部長は「環境配慮は社員への啓蒙(けいもう)活動だけでなく、お客さまや取引先にも理解してもらう必要がある」と語り、利害関係者全体に環境問題の解決を呼び掛ける。

建て替えられる大丸心斎橋店本館。低炭素社会への貢献に取り組む=4月、大阪市中央区

 全店再生エネに切り替え

 --本社ビルの電力を再生エネに切り替えた

 「本社ビルでは3月16日から、東京電力の『アクアプレミアム(発電時にCO2を全く排出しない水力発電による料金プラン)』を導入した。これにより18年度に213トンあったCO2排出量はゼロになる。自動車走行時のCO2排出量に換算すると約766キロ分に相当する」

 --今後の展開は

 「低炭素社会の実現に貢献するため、全店舗で再生エネに切り替えていく。第1弾が大丸心斎橋店本館(大阪市中央区)。ESG(環境、社会、企業統治)のフラッグシップ店舗として立て替えられ、19年9月のオープン時には関西電力の『水力ECOプラン』を利用、館内で使用される電力が全て再生エネに切り替わる。旧本館(15年度)と比べ20年度のCO2排出量は約7000トン削減される」

 --環境配慮に対する社員の意識に変化は

 「アクアプラン導入で電気料金は高くなるので社員には節電を呼び掛けている。また社員に『未来をつくるパスポート』を配布し、当社・グループが今後優先的に取り組むべき『5つのマテリアリティ(重点課題)』を策定するとともに、環境活動を担う一員としてアクションを起こすよう求めている。また5月に『ESG特集号』を発行、当社・グループのメッセージを発信した」

 --同特集号ではサプライチェーンについて言及している

 「仕入れる商品の原料調達から生産、物流、販売、消費まで環境に配慮して安全・安心に提供しなければならない。このためJ.フロントリテイリングが策定した行動原則を、当社取引先企業1万2000社に賛同してもらえるように送る予定。サプライチェーン全体でCO2排出量削減に取り組む」

 店舗に回収ボックス

 --お客さまを巻き込んだ取り組みは

 「お客さまが参加する低炭素・循環型社会への取り組みとして『エコフ』を16年度から始めた。不要になった衣料品などを回収し、その原料を利用して製品化するという循環化に取り組む。環境配慮型商品をつくるメーカーと手を組んで実現したい。これまでに約192万点を回収した。持参者にショッピングサポートチケットをプレゼントするキャンペーンを年2回ペースで実施。また今春から大丸京都店、松坂屋名古屋店を皮切りに順次、主要店舗に回収ボックスを常設している」

 --広報活動にも積極的だ

 「百貨店は各店舗に活動を任せる地域共生型なので全国区の取り組みが見えにくい。このため6月の環境月間に合わせ、各店舗の活動を全社的に情報発信した。地域に根差す活動を平日の毎日、『大丸松坂屋百貨店×環境月間』としてリリースしたが、社員のモチベーションアップにつながった」(松岡健夫)

【プロフィル】中村康隆

 なかむら・やすたか 神戸商科大(現兵庫県立大)卒。1989年大丸(現大丸松坂屋百貨店)入社。2015年東京店営業推進部などを経て、19年本社総務部CSR担当部長。52歳。大阪府出身。