国際自動車レースで日本勢の好結果続く 「走る実験室」で技術者に夢

 
F1オーストリア・グランプリで疾走する、ホンダがパワーユニットを供給するレッドブルのレース車(ホンダ提供)

 日本の自動車大手が国際レースで華々しい成績を上げている。トヨタ自動車は6月の耐久レース「ルマン24時間」を2連覇し、ホンダも同月のF1オーストリア・グランプリでエンジンメーカーとして13年ぶりに優勝するなど今季は前半戦で2勝を挙げた。各社は過酷なレース環境を「走る実験室」として開発に活用し、技術者に「夢」を与える育成効果にも期待している。

 ホンダは1960年代からF1に参戦し、2008年に撤退した。レースに膨大な費用がかかり、リーマン・ショック後の業績悪化で大きな負担になったためだ。だが、その後の業績回復に伴い、15年に車の動力装置であるパワーユニット(PU)の供給で復帰した。現在は強豪レッドブルのチームで戦う。

 PU開発を担当する本田技術研究所の浅木泰昭執行役員は「勝った経験があると苦しい時を耐えられる」と、技術者育成効果が大きいと話す。F1から高燃費エンジンや燃焼を調べるセンサーなどが生まれた。材料や試作、航空の分野との技術交流も期待される。「何が役立つか分からない」という側面もあるが、最高峰の技術を競うことが重要とみている。

 トヨタは、レースの極限の環境が車造りの改善につながるとの認識で、豊田章男社長も自らハンドルを握り参戦する熱の入れようだ。レースの経験は市販車に生かされる。6月の「ルマン」にはハイブリッド車(HV)で参戦した。レースに向けた高度な開発や、技術者が得た手法が、市販されるHVの燃費性能の向上などに結びついているという。

 日産自動車も18~19年シーズンに電気自動車(EV)の世界シリーズ「フォーミュラE」に日本勢で初参戦した。フォーミュラEは排ガスや騒音の少ないEVの特徴を生かし、市街地でも開催される。モータースポーツ担当者は「データと経験は今後の開発に役立つ」とみている。