「強敵が現れた」横浜市参戦、IR誘致競争に号砲
IR参入を目指す事業者が横浜市に提案した施設のイメージ図の一つ(同市提供)
横浜市が加わることで、統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指すのは4自治体となった。2020年台半ばにも国土交通省が決める3枠をめぐる誘致レースの“号砲”が鳴らされた。11月にも自治体の実施方針の前提となる基本方針案を公表する同省の方針を受け、IRを訪日客誘致につなげようとする地方自治体の動きは加速しそうだ。
「大阪にとって強敵が現れた。大阪府・市には先行した優位性を保ち、誘致内容を充実させてほしい」。関西経済界関係者は19日、危機感を強めた。
大阪府の吉村洋文知事は19日、記者団に「切磋琢磨(せっさたくま)して大阪・関西圏という、首都圏に負けないIRを実現したい」と冷静に語った。だが、「仮に横浜に誘致が決まれば、関西経済が期待する経済効果は得られないだろう」(金融関係者)との声が上がる。
一方、北海道や東京都など「検討中」の各自治体は、国の基本方針案公表を待って、誘致に向けた動きを本格化させる構えだ。北海道苫小牧市は「申請主体の道庁の判断を見守る」。東京都も「IRの良い点、悪い点を検討していくことに変わりない」とコメント。千葉市は「誘致の判断材料を集めている段階で、横浜の動きは判断に何の影響もない」と述べた。
ただ、各国でIRを運営する事業者が日本国内の候補地に数千億円以上を投資する方針を表明するなど、IRが地元経済に大きなインパクトを与えるのは確実視されている。
横浜市の誘致表明で、同じ関東圏で検討中の千葉市や東京都が選定されない懸念も出そうだ。東京一極集中の解消にもつながる。だが、同省幹部は「地域バランスを考えるようなことはない」と断言。自治体の実施方針の内容を評価基準とする方針を強調した。
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