石川、渋野効果でゴルフ界再び活気 さまざまな経済波及効果も
前週、男子ゴルフの「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」(北海道・ザ・ノースカントリーGC)で石川遼(27)が、7月の国内メジャー「日本プロゴルフ選手権」に続く自身初の2戦連続優勝、ツアー16勝目。今季獲得賞金を約6250万円とし、約8年ぶりに賞金ランク1位になった。
ファンありき
このところ低迷を続けていた男子ツアーだが、最終日の視聴率は6.1%と今季最高をマーク。昨年の2.6%を大きく上回った。同週に開催された女子ツアー「Catレディス」(神奈川・大箱根CC)は4.3%(数字はいずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ)を超え、最終日のギャラリー数は5664人。女子の4283人を上回った。久しぶりの快挙?である。
石川は、昨年から選手会長を務めている。
「いまの男子ゴルフの状況ははっきりいって厳しいです。でも、それを変えてかなきゃいけない。“あっ、すごいな”“また来たいな”“ゴルフ、やりたいな”って思わせるプレーをしなきゃいけない」
昨年、あるプロはプロアマ大会でゲストを不快にさせた事件も起こした。ほんの一部選手であるが、ファンからサインを求められたとき、自らの不成績ゆえにぶ然として無視するシーンもあった。石川は言った。
「選手会長として先輩プロの方々にも、厳しい注文をしてます。それにファンあっての僕ら…。ファンがいなけりゃ、ただのゴルフのうまい男の集団なんです。それじゃあダメでしょ。ファンサービスも含めてゴルフの魅力を伝えていきたい」
いま隆盛を誇る女子には、渋野日向子(20)という“新星”が現れた。42年ぶりに女子のメジャー大会「AIG全英女子オープン」を制した。笑顔を絶やさないことから“スマイリング・シンデレラ”と呼ばれ、人気が沸騰した。前々週の「軽井沢NEC72」ではその渋野が3位と優勝争いをして、最終日の視聴率は12.3%(同)。男女を通じて今季最高の数字であった。
女子の選手会長である有村智恵は「彼女のおかげでいままで(ゴルフを)知らなかった人も興味をもってくれている。本当に彼女に感謝です」と。かつて石川も15歳7カ月という史上最年少優勝した。その笑顔から“ハニカミ王子”として男子ゴルフのブームを作った。あの時もゴルフ会場には、いつものファンとは違う人たちの姿が多く見られた。
盛り上がりの要因に
近年、日本のゴルフ業界は衰退傾向にあるといわれている。「レジャー白書2018」(日本生産性本部)によると、17年のプレー人口は670万人。16年の550万人より増加したが、15年の760万人には及ばない。寂しいが、全盛時の半分に満たない数字である。
日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長は「練習場に通う人も含めると750万人くらいはいる。あとはスターが出てくるなど、きっかけさえあれば…」としていたが今、そんな衰退ムードを上昇カーブに変えそうなのが石川の“復活”であり、そして新星・渋野という存在である。
渋野の場合、着ているウエアや使用クラブの問い合わせがメーカーに殺到、ラウンド中に食べていたお菓子が一時ネット上で売り切れになるなどさまざまな経済波及効果があった。そしてゴルフスクールには、子供を持つ親御さんたちの問い合わせも増えたと聞いた。かつて石川のときも同じ現象があった。
石川は言った。
「渋野さんが全英を制したというのはゴルフ界にとって大ニュース。刺激になりますね。これをゴルフ界全体の盛り上がりのきっかけにしたい」
男子は米ツアーとの共催「ZOZOチャンピオンシップ」(10月24日開幕、千葉・習志野CC)もある。タイガー・ウッズ、松山英樹も参戦する。盛り上がる舞台は整った。
いま、日本のスポーツ界全体が活気づいている。先日スイスで開催されたバドミントン世界選手権では日本勢のメダルラッシュ。世界柔道選手権も東京で始まった。9月には日本でラグビーのワールド杯が開催され、来年は東京五輪…。ゴルフもチャンスを逃してはならない。(産経新聞特別記者 清水満)