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大林組、3Dプリンターで製造着手 鉄筋使わず7メートル貝殻ベンチ
大林組は29日、セメント系材料を用いたものでは国内最大級となる、3Dプリンター構造物の製造に着手したと発表した。10月末の完成を目指す。
3Dプリンターによる建造物では、海外でオフィスやホテル、城などが話題となっているが、補強材として鉄筋を利用しているケースもある。大林組は、鉄筋を使用せずに3Dプリンターの特徴である曲面形状や内部を空洞にするなど、自由度の高いデザインの設計を可能にした。
構造物は貝殻型のベンチで、幅7メートル、奥行き5メートル、高さ2.5メートル。3Dプリンター用の特殊モルタルと、自社開発の超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリート」を組み合わせ、高い耐久性を実現した。
コンクリートなどセメント系材料は、圧縮する力には強いが引っ張る力に弱い。そこで、鉄筋などの鋼材と組み合わせて強度を補っている。しかし、それでは3Dプリンターの特徴である曲面形状のある建造物をつくることができない。
大林組は、構造物の内部に流し込む際に流動性が高く、通常のコンクリートの数倍の強度のあるスリムクリートに着目。3Dプリンター用の特殊モルタルで外側の構造物をつくり、内部にスリムクリートを流し込むことで、鉄筋を使わずに構造物を強化することに成功した。
内部構造は、骨のように軽量で丈夫な形態とする技術を採用し、セメント系材料の投入量を約50%軽減した。
また、プリンター装置に腕部分の長さが約3メートルのロボットアームを導入したことで、大型の構造物の製造が可能となった。
大林組は「複雑なデザインの構造物を実現するだけでなく、強度や耐久性を兼ね備えた次世代技術の一つとして研究を進めたい」と話している。