日産・ルノー攻防戦、第2幕へ 出資比率の見直し協議、今秋加速
企業連合を組む日産自動車とフランス大手ルノーによる運営の主導権をめぐる攻防が第2幕を迎える。両社は交渉窓口を決め出資比率の見直しに関する議論を始めており、今秋に経営陣を交えた協議を加速させる。白紙となったルノーと欧米大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の経営統合問題が再燃する可能性もあり、関係者の思惑が複雑に絡む展開となりそうだ。
日産とルノーは連合内の関係を早期に安定させ、自動車業界で激化する競争に勝ち残りたい考えだ。ただ今後の協議では、日産がルノーに出資比率の引き下げを重ねて求めるのに対し、ルノーが応じる見込みは小さく、難航は必至だ。
世耕弘成経済産業相とフランスのルメール経済・財務相は2日の電話会談で、企業連合に関し「協力関係を維持、強化していく意志を支持する」との共同声明を出し、今後の円滑な協議を促した。
日産はルノーに15.0%出資するが、自社株の43.4%をルノーに握られ、資本構成上は弱い立場にある。ルノーからは過去に経営統合を打診されたが、経営の独立性を維持する意向を現在も崩していない。6月の株主総会では企業統治改革の議案にルノーが一時賛成しない意向を示したこともあり、資本上の対等な関係を求める声がさらに強まっていた。
長年トップに君臨したカルロス・ゴーン被告=会社法違反(特別背任)などの罪で起訴=の事件を受け、6月下旬に発足した日産の新体制では、ルノーの首脳2人が取締役に就き、日産出身者と同数を確保した。ルノーは一定の影響力を保持しており、あえて出資比率の引き下げに応じる利点は薄い。
一方、業界には「ルノーとFCAの統合協議が再開されるのではないか」との見方がくすぶる。ただ、ルノーはFCAとの協議を安易に前進させ、日産との関係が修復不可能になる事態は避けたい考えとみられ、当面は神経戦が続きそうだ。