「事務自動化」普及に追い風 NTTデータ、地方自治体・中小へ営業強化

 
NTTデータは、学校教育においてもRPAの普及に力を入れている(同社提供)

 NTTデータは、パソコンによる定型の事務作業を自動化する「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)」の市場を拡大しようと、地方自治体や中小企業をターゲットにした営業戦略を強化する。

 生産性向上に寄与

 ロボットがホワイトカラー業務を代行し、生産性の向上に寄与するとして注目され、働き方改革の推進や人手不足を追い風に普及が進む。NTTデータは、自治体が利用するネットワークと連携する新しいサービスや、金融機関と代理店契約を結んで中小企業への導入を積極的に呼びかけてもらう構えだ。

 「働き方改革で、上司から導入の検討を指示された」

 13日、東京都港区のホテルで開かれた、NTTデータ主催のRPA「WinActor(ウィンアクター)」の普及イベント。流通関連企業の男性社員は、会場にいた担当者に矢継ぎ早に質問していた。

 2014年に発売されたNTTグループのWinActorの導入企業は、7月末時点で約3700社。18年3月時点の約1000社から大幅に増えた。イベントに参加したIT企業の担当者は「WinActorと自社のサービスと掛け合わせ、中小企業の業務の効率化を支援したい」と話し、市場の拡大に手応えを感じている。

 好調な要因は、市場環境の変化だ。18年は政府による働き方改革の推進が追い風となり、さまざまな業界・職種におけるRPAの導入事例が、イベント・セミナーなどで取り上げられた。矢野経済研究所によると、大手や中堅企業の多くが何らかの領域でRPAを導入する可能性が高いと分析しており、22年度の国内RPA市場規模(売上高)は、17年度比約4.5倍の802億7000万円と予測する。

 地方自治体をめぐっては、千葉県が実証実験を行っているほか、松山市が全国初となるRPA導入補助金を開始し、NTTデータや地域金融機関と協力してRPAのセミナーを8月に開催するなど、関心が高まっている。NTTデータは、RPAのさらなる普及に向け、地方自治体や中小企業への営業戦略を強化することにした。

 具体的には、RPAを人工知能(AI)と連携させ、高度な業務に対応できるサービスだ。

 その一つが、AIと連携したOCR(光学的文字認識)の技術。従来のOCRは、枠内にある手書き文字しか判読できなかったが、新技術「AI-OCR」では文字枠のない文章や、漢字、カタカナ、数字などの混在した文章も判読できる。タブレット端末のカメラで撮影した、ゆがんだ画像の文字も正確に認識できる。

 10月からは、自治体などが利用する総合行政ネットワークを通じて、この新技術を本格的に採用する。紙の手書き申請書類をスキャンして画像ファイルにしたものを、AI-OCRを使ってテキスト形式のファイルに変換し、ネットワークを通じて自治体に返却する。自治体内で新たにシステムを立ち上げることがなく、パソコンの手打ち作業がなくなるため、作業の大幅な削減が期待できる。

 また、数十の金融機関と代理店契約を結び、人材不足などに悩む中小企業にWinActorの活用を提案する仕組みも進める。

 ただ、RPA市場の急激な拡大に伴い、導入先企業の過度な期待感から失望されてしまうケースも見受けられる。

 検定や教育に注力

 NTTデータは、企業の担当者を対象にした検定や学校教育に力を入れる。検定制度は18年4月からスタートし、全国47都道府県で受検可能。9拠点のトレーニングセンターで、1万人を超える合格者・修了者を出した。RPAソリューション担当の中川拓也課長は「検定の有無を名刺や履歴書に記載する人も増えている」と話す。

 約2年前からは、人材派遣会社と提携し、経理部門に派遣するスタッフにWinActorの研修を実施。このスタッフは派遣先の企業でRPAによる業務自動化を提案するなど、実績を挙げている。

 こうした地道な取り組みについて、中川氏は「企業のIT部門にしか使われなかったRPAが、人事、経理、工場、営業部門にまで広がった」とした上で、「将来は1人1台のRPAが当たり前の時代になるだろう」と予想している。(鈴木正行)