出前館・中村社長「宅配は日常使いのサービスに変わっていく」

 
インタビューに答える「出前館」を運営する夢の街創造委員会の中村利江社長=東京都千代田区(佐久間修志撮影)

 10月の消費税率引き上げを契機に、外食各社で持ち帰りや宅配などの“脱店内”サービスが進む。外食宅配ポータルサイトの「出前館」を運営する夢の街創造委員会の中村利江社長に、変わりつつある外食サービスについて聞いた。

 --軽減税率が適用される宅配サービスを強化する外食チェーンが増えた

 「当社はウェブで注文をとりまとめる事業に加え、2年前からは配達を代行するエリアを拡大してきたが、昨年末から引き合いがすごい。2年前に約1万5千店舗だった加盟店舗数が足元で2万を超える勢いだ。ここ1年で約2700店舗に加盟してもらった」

 --宅配は初めてという外食チェーンも多い

 「各チェーンともこれからは宅配をやらなくてはという危機感がある。増えた約5千店舗のうち約8割はこれまで宅配をしていなかった店舗で、業種はファミレスやファストフード。ここ数カ月はカフェやスイーツも多い。人手不足を背景に配達代行が喜ばれているほか、店内飲食とは違う客層から売り上げを積めて評価してもらえている」

 --宅配需要の高まりをどう受け止めているか

 「やっと来たかなという感じ。海外では店内飲食の飲食店が宅配をするのは普通だが、日本は出前は来客があったときにするものという認識だった。それが人手不足や女性の社会進出などもあり、ハンバーガーやラーメンのような日常食も宅配すると知り始めた」

 --外食の宅配市場は今後どうなっていくか

 「現状は宅配をしている飲食店は約3万店舗ある一方、宅配をしていない店舗も約60万店舗あるとみられる。市場のポテンシャルは約20倍。今後の外食は店内飲食から宅配や持ち帰りのサービスが増え、店内注文も店外からの注文もIT化が進む。従業員はおいしい料理を作ることに集中できるようになっていく」

 --消費者の宅配の関わり方も変わっていくのか

 「かつてのピザやすしのように、来客があったから頼むのでなく、『今日は疲れたから頼もう』といった日常使いのサービスに変わっていくのでは」