携帯通信料金 値下げ肩透かし 大手3社新プラン、端末補助「抜け道」維持
NTTドコモが17日、10月1日からの改正電気通信事業法の施行に合わせた新料金プランを発表し、携帯電話大手3社の対応が出そろった。契約中の解約にかかる違約金や2年契約を条件にした料金割引などは新規制に合わせた。新規制で値下げが期待された通信料金は従来プランが据え置かれ、端末代金の補助では、抜け道的な方法で半額割引が維持されるなど、市場活性化への効果には疑問が残る。
ドコモの新プランでは2年契約を残し、違約金を1000円に引き下げた。また、携帯電話料金の支払いでドコモのクレジットカードを使うことで、違約金をなしにするプランも用意した。既にプランを発表したKDDI(au)は違約金を1000円にし、ソフトバンクはなしにしている。
昨年8月の菅義偉官房長官の「4割値下げの余地がある」との発言以来、大手各社は大容量プランや家族割引などを充実させたが、料金水準は据え置いた。改正法の施行を機に期待された大幅な値下げにはつながらなかった。
一方、端末の補助は維持された。ドコモは36カ月分割で最大3分の1を割り引く仕組みを導入。ソフトバンクが、端末購入に回線契約を条件にしないという、規制の対象から外れる抜け道で、48カ月分割での半額免除を維持、KDDIも追随した。
ただ、購入した携帯電話会社の回線しか使えない「SIMロック」がかかっており、100日間は解除できないことも問題視されている。総務省は即時解除できるように義務づける方針を固めており、10月中にも新たな指針を改定する。
現在の指針で、SIMロックは不払いや転売を防ぐことや周波数の異なる他社で販売された端末では十分な性能が発揮できないことなどを理由に認められている。分割払いの際に、携帯電話会社に支払いが確認されるのに約3カ月かかることから、100日間の期間も設けられている。一定の頭金を先に払うことで、100日未満でも解除できるようにすることなどを想定している。
携帯電話市場の制度改正で、消費者への直接的な負担が大きく増えることはなかったものの、大手3社は横並びの対応で落ち着き、市場競争の活性化という中長期的な消費者利益の実現は遠のいた。来春への遅れで不発に終わった楽天の携帯電話事業の本格参入が起爆剤となるか、消費者の厳しい目が光る。(高木克聡)
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携帯大手3社の携帯料金新ルールへの対応
(2年契約プラン/2年契約を解約する際の違約金/端末の購入補助)
NTTドコモ 残す※/1000円※/36カ月払いで最大3分の1割引
KDDI(au) 残す/1000円/48カ月払いで最大半額
ソフトバンク 廃止/廃止/48カ月払いで最大半額
※自社クレジットカード払いで、2年契約プランの月額料金170円割引、違約金はなしに
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