タケヤ/ブランドエックス 音楽ソフト、ネット配信台頭で赤字
音楽ソフト、ネット配信台頭で赤字
▼タケヤ タケヤは8月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
同社は婦人靴、スニーカー、サンダルなど靴商品全般を取り扱う老舗の小売業者。ショッピングモールなどに専門店「CROCEED(クロシード)」「Take5」「coche et coche(コシュエコシュ)」などを展開し、全国で100店舗以上を運営していた。ブランド品からオリジナルの企画商品まで幅広く取り扱い、ピーク時の1998年2月期は売上高約130億3300万円を上げていた。
しかし、同業他社との競合激化などから売り上げの減少に歯止めが掛からず、業績が悪化。2019年1月期は売上高が約65億円にまで落ち込み、4期連続の赤字を計上し、債務超過額が拡大した。
経営状況の厳しさが深刻化する中、資金繰りも限界に達し、今回の措置となった。
▼ブランドエックス ブランドエックスは8月28日、東京地裁から破産開始の決定を受けた。
同社はビジュアル系バンド専門のCDショップ「BrandX」を東京・池袋で運営していた。インディーズレーベルなど希少な音楽ソフトも多数取り扱い、ファンの間では非常に高い地名度があった。
さらに、CDの販売に関連してミュージシャンやバンドメンバーとファンが交流する独自のイベントが人気を博し、これまで「SuG」や「Vivid」「Kannivalism」「彩冷える(アヤビエ)」など多数の有名バンドが出演してきた。
しかし、近年はインターネットでの音楽配信サービスなどの台頭により、CDを中心にソフトの売り上げは減少傾向で、赤字経営が続いていた。代表者からの借り入れなどで経営を支えてきたものの、ここにきて資金繰りが限界に達し、2019年5月に入り店舗を閉鎖、事業を停止していた。
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【会社概要】タケヤ
▽本社=東京都立川市
▽設立=1962年2月
▽資本金=5000万円
▽負債額=約33億5000万円
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【会社概要】ブランドエックス
▽本社=東京都豊島区
▽設立=1988年7月
▽資本金=1000万円
▽負債額=2250万円
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〈チェックポイント〉
タケヤは大規模商業施設のオープンに合わせて全国で多店舗展開した。商業施設への出店は路面店より負担が少なく容易とされるが、業容拡大がかえって経営を難しくすることもある。同社も100店を超える店舗のなかで不採算店が続出、撤退やブランド変更など試行錯誤を繰り返したが、経営は限界だった。
ブランドエックスはCD販売だけでなく、バンドのイベントなどにも積極的で高い人気があった。熱心に通いつめたファンも多く、CDショップにとどまらない存在感を誇った。だが、オンラインによるダウンロードや動画サイトが隆盛するなか、音楽市場の変化は、こうした人気店をものみ込んでしまった。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)