「日本ワイン」好調、生産増へ 品薄ウイスキー教訓、数年後を見据え布石

 
「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」のワイン醸造エリア=20日、長野県上田市

 国内の大手ワインメーカーが生産能力強化を本格化させている。昨年10月に始まった「日本ワイン」の表示規定を機に国内消費者の関心が高まった上、海外での日本ワインへの高評価も認知され、販売が好調なためだ。世界的な人気拡大で生産が追いつかなくなった国産ウイスキーの教訓もあり、各社は長期的な視点で布石を打っている。

 「令和の時代こそ日本ワインがグローバルに広まった時代といわれるようにしたい」。国内ワインメーカー最大手、メルシャンの長林道生社長は新しいワイン醸造所「シャトー・メルシャン椀子(まりこ)ワイナリー」(長野県上田市)の開所を前に20日に開いた内覧会で意気込みを語った。

 椀子ワイナリーはメルシャンにとって3カ所目の醸造拠点。昨秋には「桔梗ケ原ワイナリー」(長野県塩尻市)を稼働させ、今年8月にも「勝沼ワイナリー」(山梨県甲州市)の生産能力を引き上げたばかりだ。2027年には自社管理のブドウ畑を50ヘクタール(18年)から76ヘクタールへ広げる方針も示している。

 メルシャンが増産を急ぐ背景の一つには昨秋にできた日本ワインの表示規定がある。日本ワインと名乗れるのは国産ブドウのみを用いて国内で製造されたワインだけで、輸入ワイン原料を国内で醸造するなどした「国内製造ワイン」とは区別されるようになった。

 メルシャンの日本ワインブランド「シャトー・メルシャン」の1~8月の販売数量は前年同期比30%増。中でもブドウの産地と品種を表示するカテゴリーは7割増と急伸した。日本ワインが海外のワインコンクールで高い評価を得ていることも販売の追い風になっているとみられる。

 アサヒビールの日本ワインブランド「サントネージュ」も1~8月は31%増の5000ケース(720ミリリットル12本換算)を売り上げた。アサヒは6年後の販売数量2万ケース達成に向けて生産体制を強化。25年に自社畑を10ヘクタールとする目標を掲げる。サッポロビールや、キッコーマン傘下のマンズワインも生産能力を引き上げる計画だ。

 一方、サントリーワインインターナショナルは昨年の売り上げが29%増と急伸したが、ウイスキー同様に品薄に陥り、今年は前年比5%減の計画を組む。3年後に16年比で2倍の栽培面積へと引き上げることを目指し、農業生産法人や行政との連携を進めている。(日野稚子)