【eco最前線を聞く】来年、ボトル全てを再生プラ製に ユニリーバ・ジャパン
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング・中川晋太郎ダイレクターに聞く
日用品・化粧品事業を世界規模で展開するユニリーバの日本法人、ユニリーバ・ジャパン(東京都目黒区)は2019年下半期の新製品から、PET(ポリエチレンテレフタレート)素材のボトルについて重量ベースで最大95%再生プラスチックに切り替えていく。「LUX」「Dove」「CLEAR」の3ブランドから着手、20年末までに全てのボトルに再生プラスチックを採用する。
ブランドのマーケティングなどを担うユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング(同)の中川晋太郎ホーム&パーソナルケアマーケティングダイレクターは「再生プラスチックへの切り替えはコストアップ要因だが、そうしなければ地球環境に負荷がかかる。技術的課題をクリアし、PET以外のプラスチック素材にも広げていく」と意欲的だ。
来年末1300トン切り替え
--再生プラスチックの採用を始めた
「PET、PP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)の主要プラスチック素材のうち、技術インフラが整うPETから再生プラスチックに切り替えていく。パッケージメーカーの協力を得て、業界で初めてボトルに採用した。グローバルなプラスチックごみ問題の解決に貢献できる」
「まずは売り上げの約半分を占める主要3ブランドの新製品(8月5日から順次発売)を皮切りに、再生プラスチックを約90~95%使用したボトルを採用する」
--ボトル以外については
「18年4月から、一部の新製品のアテンションシール(ボトル上部につける販促用シール)に再生プラスチックを約80%使用。それから約1年の研究開発期間を経てボトルの90~95%、詰め替え用パウチの約10%を切り替えることに成功した。現状では、これが技術的に可能な最大限度といえる。20年末の計画が達成すると、1300トンが再生プラスチックに切り替わる」
--再生プラスチックへの切り替えはコストアップ要因になるのでは
「確かに手間がかかるので価格は数%上昇する。それでも取り組まないと環境に負荷がかかる。再生プラスチックへの需要が高まれば供給量が増え、生産コストは下がる。需要が増えれば技術も進歩し、再生プラスチックの可能性も広がる。だからこそ消費者にプラスチックの使用量を減らしたり、リサイクルしやすい素材や再生プラスチックなどに変えたりすることが大事だと根気よく訴えていく必要がある」
PET以外にも展開
--地元にも重要性を発信している
「今年から、オフィスを構える中目黒で使用済みペットボトルの回収に乗り出した。7月27、28日開催の『第56回目黒区商工まつり 目黒リバーサイドフェスティバル』に初参加したほか、9月15日の『第43回目黒区民まつり』、10月26日の『中目黒ブロックパーティ』にも参加、ペットボトルの回収・リサイクルなどの意識啓発に取り組む。足元の目黒区を皮切りに、今後も活動を展開していく」
--今後の展開は
「ユニリーバは早い段階から、もうけるだけでなく、環境配慮の活動に取り組んできた。環境負荷を減らし、社会に貢献しながらビジネスを成長させる『ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン』を提唱した。当社は10年に導入しており、25年までにパッケージ(ボトルや詰め替え用パウチなど)に使用するプラスチックのうち、少なくとも25%を再生プラスチックにする。今回のPET素材の再生プラスチック化が第1弾で、次はPET以外への採用を目指す。また、同業他社や他業界とも連携して進めたい。小売業者とも組んで、回収して使用するサイクルをつくりたい」(松岡健夫)
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【プロフィル】中川晋太郎
なかがわ・しんたろう 慶応大総合政策学部卒。2001年外資系消費財会社でマーケティング・ブランドマネジメントを経験。09年ユニリーバ・ジャパン、16年8月から現職。41歳。神奈川県出身。
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