【トップは語る】TMEIC クリーン電力系統の安定化対応

 

 □TMEIC執行役員・澤田尚正さん(58)

 --太陽光発電で生み出された電力を系統に送電するためにパワーコンディショナーを中心としたシステム事業に力を入れている

 「国内の太陽光発電は、買い取り価格が下がっているなどの関係もあり環境は大きく変化している。買い取り価格が一般産業向けの購入電力価格を下回る太陽光発電所も出てくる。そうした設備の生み出す電力を、売電ではなく、自家消費するといったニーズも生まれつつあり、そのための機器やシステムは注目されている。一方、海外市場は拡大基調が続くものの、競争は厳しさを増している。競合する中国メーカーとの価格競争は熾烈(しれつ)だ」

 --当面の重点施策をどう考えるか

 「われわれが提供する製品の特徴でもある高品質、高効率を前面に、多様化するニーズを取り込めるモジュール型パワーコンディショナー機器の拡販を進めていきたい。そうした機器は、国内で今後進むとみられる太陽光発電の自家消費などにも柔軟に対応することが可能だ。海外については、米国や中国などを中心に、ベトナムなどでの拡販も進めたい。国内に加え、すでにこうしたエリアにも製造拠点があり、今年7月には累計出荷も容量ベースで20ギガワットを達成した。製品とともにノウハウを生かしたソリューションを展開し、市場を深耕する考えだ」

 --今後の展望は

 「さらなる普及が見込まれる風力発電などの分野や、そうした電源を多用する際に求められる電力系統の安定化などについても取り組んでいく。環境負荷の低減は世界の潮流であり、再生可能エネルギーの活用は今後も進む。われわれはそうしたクリーン電源の普及促進を通じて社会に貢献していきたいと考えている」

【プロフィル】澤田尚正

 さわだ・なおただ 慶大工卒。1983年東芝入社。電機システム事業部重工システム技術部グループ長、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)産業第二システム事業部技師長、取締役産業第二システム事業部事業部長などを経て、2017年6月執行役員回転機システム事業部事業部長。18年4月から現職。神奈川県出身。