【関電金品受領問題会見詳報(8完)】「ゆゆしき事態」菅原経産相発言に岩根社長は「厳粛に捉えている」
--(高浜町の元助役の)森山栄治氏に対し、会社からお礼をしたりするなどのアプローチをしたのか
岡田達志常務執行役員「当社の人間が受け取ったかを調査する中で、多少の会食や、手土産を渡したとは聞いているが、それらは過分なものはない」
--贈収賄など、法的な問題はないと考えているのか
岩根茂樹社長「当該事象の見返りになるようなものはなく、発注プロセスも適切に行っています。そのような問題には該当はしません。税務当局からは、一時的に保管し、その後返還しても所得税の対象になるということでした」
--捜査当局のアプローチはなかったのですか
岩根社長「ありません」
--社長がもらった物品を返したのは、高浜の地元で税務調査があったと伝わった昨年3月より以前か、後ですか
岩根社長「7年間、返せるときに返すという認識のなかで、どこかの段階で返してきました」
--記録はないのですか
岩根社長「いつかという答弁は差し控えたい」
--記録はありますか
岩根社長「あります」
--昨年3月以前でしたか
《同席した岡田達志常務執行役員が割って入った》
岡田常務執行役員「答弁を差し控えたい」
--現時点で(高浜原発以外の)他の立地地域の調査はしないというが、今回は特殊な事案との認識か
岩根社長「かなり特殊な事案です」
--地域の方といってもいろいろある。原子力事業を住民に説明してくれるとか。20億円を提供するのは、どういう人物なのか
岩根社長「相当長い期間、地域の有力者だったと伺っています。相当の力があると、ご本人も仰っていたということです」
--今朝の閣議後記者会見で、菅原一秀経済産業相から「ゆゆしき事態」だとの発言がありました。今後、経産省に対し調査報告書を提出しますか
岩根社長「菅原大臣がそう仰ったことは聞いています。厳粛に捉えており、真摯(しんし)に対応していきたい」
--公表されていない社内調査報告書と称するものを経産省に提出するのか
岩根社長「経産省のご意向をうかがって、適切に対応します」
--(工事を)発注した会社に、森山氏が関連したという認識はあったとの話でしたが、税務調査に入った会社のことか。それとも、発注したすべての会社ですか
岩根社長「当然、すべての企業ではありません。その方が、税務調査の入った会社と関係があったと認識しています」
--税務調査の対象となった(関電側の)20人のうち、役員は何人か。2011年から7年間ということですが、東日本大震災の発生時期ともぶつかっている
岩根社長「役員については、私、会長を含む複数人ですが、それ以上の回答は差し控えたい。原子力の信頼性を回復するときに、このような問題を引き起こしたことは、心からおわび申し上げる」
《再び深く頭を下げた》
--岩根社長は電気事業連合会の会長になったばかり。退くことはないと回答があったが、電事連のなかで連絡を取っているのか
岩根社長「現時点ではしていません。必要に応じてします。各社と協力して、電事連の課題を解決していきたいと考えています」
--処分者まで出たのに公表しなかった理由は何か
《岩根氏は視線を落とし、机上の用紙を読み上げる》
岩根社長「ある特定の人物から金品を渡され、返却の機会をうかがい、一時的に保管していたもので、儀礼のもの以外は返却しています。当該企業に対して社内のルールを守り、適切に対処しています。(物品を)渡されたこと、個人の管理下にしたのは非常に不適切でした」
--質問の答えになっていない
岩根社長「現在、再発防止に取り組んでいます」
--改めて、公表しない理由について
岩根社長「基本的に違法な行為ではなく、不適切行為だったので、社内で処分を行いました」
--検察などが捜査する可能性があるが、関電としてどう対応するのか
岩根社長「現時点でそういう話になっていませんが、もしそうなれば、真摯に対応したいと思います」
--関電発注事業の費用が建設会社、森山氏、そして関電役員に流れた。利用者の電気料金が役員に還流した形だが、それでも公表しなかった判断は、いま振り返るとどう思いますか
岩根社長「ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした」
《岩根氏ら関電の3人が座ったまま頭を下げる》
岩根社長「違法ではなく、不適切な行為で、再発防止策を行っています。今後、今回のプロセスが妥当だったか検討します」
《午前11に始まった会見は、午後0時20分過ぎに終了。関電の3人は起立して約10秒間、頭を下げた。岩根氏は退出する前にも再び深々と頭を下げた》
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