かんぽ生命、実態解明ほど遠く 調査完了4割弱、信頼回復の道筋も見えず
かんぽ生命保険の不適切な保険販売をめぐる実態調査で、法令違反や社内規定違反が過去5年で約6300件判明した。問題発覚から3カ月たったが、顧客への調査を終えたのは全体の4割弱。顧客や郵便局員の不安は広がるばかり。毀損(きそん)した信頼回復の道筋も見えないままだ。
「失われた信頼の回復に向け、グループ一丸で取り組む」。日本郵政の長門正貢社長は30日の会見で陳謝し、こう繰り返した。
中間報告では保険業法違反もいとわない営業実態が改めて浮き彫りになった。乗り換え時に「旧契約を半年間は解約できない」などと虚偽の説明をし、保険料を二重払いをさせる手口などが多数確認された。かんぽ生命の植平光彦社長は「顧客本位が徹底されていなかったことを痛感した」と語った。
「やり方が詐欺に近い」。茨城県の40代局員はこう絞り出した。顧客の信頼を裏切る行為に元郵便局長は「情けない気持ちでいっぱい」と語った。不適切な疑いのある契約のうち電話や面会で顧客に確認ができたのは約6万8000件にすぎない。年内に調査を全て終えられるかにも不透明感が漂う。
約18万件の調査とは別に進める3000万件の全件調査では契約者が2、3の質問に答え、はがきを返信する簡素な内容で形ばかりとの批判が強かった。このため10月には契約内容を記載したはがきを再度送付する。
再発防止策には70歳以上の高齢者に対して保険営業の原則禁止や、現場の情報が経営陣に伝わらずに対応が後手に回ったことを踏まえ、グループ会社間の連携を強化する体制強化なども盛り込んだ。だが、調査が道半ばの中では対策は十分なものとは言い難い。
弁護士で構成する特別調査委員会は問題の背景について「現場の営業の実力に見合わない目標設定」「募集人への恫喝(どうかつ)的な指導」などを指摘。年内の報告の取りまとめに向け、深度ある調査を進めるとした。
長門氏らは辞任を否定したが、金融庁が立ち入り検査に入り、年内に行政処分を下すため、この判断が出るまで先送りとなった格好。だが「現場が分かり求心力がある生え抜きが期待される」(総務省幹部)、「民間から呼ぶなら電力や鉄道など広域で地域密着の企業の経験者」(自民党の議員)などと後任の人選をめぐる発言もちらつき始めている。(万福博之)