自動車

軽自動車、10年で36%価格上昇 安全装備の充実でコスト増か

 低廉なイメージがある軽自動車の価格が上昇している。総務省の小売物価統計調査によると、今年7月時点の平均価格は142万3765円で、10年前の平成21年(104万4750円)に比べ36.3%高い。高齢者の運転ミスによる事故が問題となる中、自動ブレーキなど安全装備が充実する一方で、コスト増となったのが価格上昇に影響している。

N-BOX

 調査は生活に重要な商品の価格を全国規模で毎月調べており、自動車は販売台数の多い複数車種を基に平均価格を算出した。軽自動車は21年以降、ほぼ一貫して上昇し、27年に130万円、30年に140万円をそれぞれ突破した。この間、全国消費者物価指数の総合指数は5%程度の上昇で値上がりが際立っている。

 今年1~7月の国内新車販売の首位、ホンダの軽自動車「N-BOX」は自動ブレーキなどを装備し、最低価格が138万5640円。21年に軽自動車で最も売れ、高度な運転支援システムのなかったスズキ「ワゴンR」は当時90万円程度から買えた。総務省は調査対象の車種を公表していないが、実態を反映していると言えそうだ。

 運転支援の装備は22年ごろから注目を集めた。SUBARU(スバル)が手掛ける自動ブレーキなどのシステム「アイサイト」登場が契機だ。小型乗用車(5ナンバー)と普通乗用車(3ナンバー)は27~29年に統計の取り方が変わり比較しにくいが、同じく上昇傾向にある。

 地方の“足”相次ぎ投入

 高齢運転者による自動車事故が相次いでいることを受け、自動車業界では事故をどう抑制するかという観点から安全機能を強化していく方向性を打ち出している。車両の維持費が比較的安いことなどから地方の足として人気の高い軽自動車は、各自動車メーカーが安全機能を高めるなどした戦略車を相次いで投入している。

 今年上半期(1~6月)の国内新車販売台数は、軽以外の自動車(登録車)が前年同期比0.2%増の173万5348台だったのに対し、軽自動車は1.8%増の101万8071台。台数ベースでは国内販売の4割弱に達しており、メーカー側も魅力的な軽自動車を投入できるかどうかが国内販売での浮沈につながりかねない。

 会社法違反(特別背任)などの事件で起訴された前会長のカルロス・ゴーン被告の不正問題で揺れる日産自動車は3月、同社の軽で初めて自動運転技術の「プロパイロット」を搭載した新型のデイズを投入。事故時に自動で通報するサービスも利用できるようにしており、上位車種にも引けを取らない機能が盛り込まれ、販売を支えている。

【用語解説】軽自動車

 エンジンの排気量が660cc以下と小さく、車体も長さ3.40メートル以下、幅1.48メートル以下、高さ2.00メートル以下と定められたコンパクトな自動車。比較的安価で、税金や保険料、高速道路の料金も安く、公共交通機関の少ない地方を中心に人気がある。新型車は車載カメラやレーダーで周囲の状況を把握し、衝突事故を避けたり、被害を軽くしたりする安全運転支援システムを備えた車種が多い。