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ゲノム編集食品、不信感払拭できるか 届け出の受け付け、今月から開始

 遺伝子を狙い通りに改変する「ゲノム編集」技術を使った農水産物の食品について、厚生労働省が今月から届け出の受け付けを始めた。3日時点で届け出を済ませた業者はゼロだが、今後、複数が届け出る見通しで、市場流通に向け行政プロセスが着々と進む。ただ、消費者側には安全性などに根強い不安や不信感が残っており、厚労省や食品開発者側は、科学的データを可能な限り公表することで理解を得ようとしている。

 「新しい技術、安全性への不安、予期しない遺伝子の変化が生じる可能性があるのではないかといった懸念がある。それらを踏まえながら、情報提供にしっかり取り組んでいきたい」。加藤勝信厚労相は9月20日の会見で、消費者の不安払拭に努める考えを強調した。

 ゲノム食品については、厚労省が安全性審査の必要のない届け出制としたうえ、消費者庁もパッケージに表示を義務づけないことを決めたことなどから、消費者団体らが「ゲノム食品を食べたくない人が食品を選べなくなる」と不満を募らせている。

 このため厚労省はゲノム編集の技術や改変内容、新たなアレルギーの原因物質の有無などの情報開示を開発者側に求め、開示内容は同省のホームページで公開する方針。開発者側も同省の求めに応じる姿勢で、さらに自主的にパッケージ表示する意向を示す開発者も出ている。

 「体が大きい」マダイやトラフグの開発を進める京都大の木下政人助教は「売り場でパッケージに表示するだけでなく、それ以外の科学的データもウェブで公開していきたい」と話す。木下氏らのグループは、マダイ、トラフグについて来年秋の販売を目指す。

 ただ、ゲノム食品流通には、農林水産省への届け出も必要。ゲノム編集で新たに誕生した農水産物が生態系に影響を及ぼさないようにするための措置だが、農水省は詳細を検討中。木下氏は「養殖場を陸上に設けることで海洋への流出を防ぐ」としているが、農産物についても農地の隔離などが求められることになるのか、対応が注目される。

 ゲノム編集 ゲノム(全遺伝情報)の狙った場所に切れ込みを入れ、特定の遺伝子を働かなくしたり、別の塩基配列で置き換えて新たな生命機能を持たせたりする技術。体の大きいマダイやトラフグのほか、血圧を下げるトマト、毒素を作らないジャガイモなどの開発が進められている。食品開発以外に不妊治療やがん治療にも応用されるが、倫理面で課題を指摘する声もある。