【スポーツi.】五輪まで1年切り…問われる国際親善試合の真価と戦略性

 
バスケ男子W杯の米国戦で厳しいマークを受ける八村塁選手(手前左)=9月5日、上海(共同)

 東京五輪まで1年を切り、各競技の世界大会がめじろ押しである。バスケットボールでは、NBA(米プロバスケットボール協会)ドラフトの1巡目指名を受けて注目が集まった八村塁選手をはじめとして、男子日本代表は史上最強とも期待もされていた。それは直前に行われた国際親善試合で、世界の強豪国と互角に渡り合ったことに起因しているであろう。しかし、中国で開催された男子バスケットボールのワールドカップ(W杯)大会本番では、全敗で大会を終えることになってしまった。(フリーランスプランナー・今昌司)

 代表強化が第一義

 選手たちには、改めて世界との実力格差を身をもって体験する場となったのである。一方、2022年サッカーW杯のアジア予選開始を前に、サッカー日本代表も国際親善試合に臨んだ。結果は勝利に終わるも、対戦国の試合に対するモチベーションは、お世辞にも高いものとはいえなかった。親善試合とはいえ、マッチメークする競技団体は、大会本番を見据えた強化を念頭に試合を組む。試合に込められた目的は、対戦相手がいかに本番並みの戦力で戦ってくれるか、ということで達する。ここに、親善試合というマッチメークと、強化戦略の難しさが見え隠れしている。

 国内で開催される国際親善試合は、ある意味で、主催する競技団体に多様な利益をもたらす事業だ。直接的なイベント収入もしかりだが、メディアを通したPR効果は後々の競技の普及に結びつく。ビジネスで言えば、後の多様な収入源を生み出すための源泉ともなる。さらには、日頃支援してくれているスポンサー企業にとってのスポンサーシップ効果も具体化する場となる。

 試合そのものは、代表チームの強化を念頭にマッチメークされているものの、主催する競技団体としては、組織の収入の骨格を成す事業収入を拡大していくための重要な施策なのである。国際親善試合は、あくまでも代表チームの強化戦略の重要な試金石であり、後の世界の舞台で成果を残していくための起点となるものだ。マーケティング戦略上の成果は、あくまでも、その後の代表チームの商業価値を引き上げていくためのものであるのだから、試合を行う代表チームに残す成果こそが、最も重要な課題であることは間違いない。

 観戦ツアーも一案

 マーケティング効果を第一義とするのではなく、強化戦略における成果を着実に残していくための国際親善試合のマッチメークとは、いかにあるべきなのか。日本で日本代表と戦うことに対戦国にとっての強化策としての成果が見込まれ、その対戦国が本気で立ち向かってくるケースであれば、何ら問題はない。必然的に、試合としての質も高まり、注目度も増す。しかし、対戦国が日本と同じ価値観に立てなければ、マッチメークは成り立たない。来日する対戦国にとっては、日本への長い移動距離による負担も大きく、試合を行う意義が問われるからだ。

 Bリーグが確実に成長し、選手強化の日常的な主戦場となり、競技力全体のボトムアップが期待できるバスケットボール界にあって、特に欧州勢との対戦経験は、競技団体挙げての重要な事業として戦略構築していくべき課題であるように思う。スポンサーシップ効果を生み出すのならば、ネットを介したさまざまな技術の応用が考えられるし、ファンを動員した観戦ツアーをビジネス化してもいい。

 Bリーグシーズンを終えた夏場に、集中的に欧州各国を行脚する親善試合シリーズを組み、それを国内に利益をもたらす事業として戦略構築はできないだろうか。世界と力の格差が明確となった日本のバスケットボール界は、新たな局面に立ち向かうべきであろう。そこに、競技団体としての国際視点での戦略性も問われる。期待してやまない。

【プロフィル】今昌司

 こん・まさし 専修大法卒。広告会社各社で営業やスポーツ事業を担当。伊藤忠商事、ナイキジャパンを経て、2002年からフリーランスで国際スポーツ大会の運営計画設計、運営実務のほか、スポーツマーケティング企画業に従事。16年から亜細亜大経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師も務める。