コクヨ、ぺんてるの子会社化目指す 対立泥沼化
コクヨは15日、保有する文具大手、ぺんてる(東京都)の株式を買い増して現在の約38%から過半数に引き上げ、連結子会社化を目指すと発表した。コクヨによると、ぺんてるが水面下で第三者との大規模な資本提携を画策している動きがあり、買い増しを決めたという。コクヨは、株式取得に反発を強めるぺんてると提携に向けた協議を進めてきたが、事実上決裂した格好で、子会社化による解決を目指す。
コクヨによると、10月に「ぺんてるが第三者と資本提携を進めようとしている」という趣旨の匿名の文書が届いた。コクヨはぺんてる側に真偽を確認したが、明確な回答はなかったという。
関係者によると、水面下で資本提携協議を進めていたのは、オフィス用家具などを展開するプラス(東京都)とみられる。ぺんてるはコクヨに株式を取得される以前にプラスと提携協議を進め、ほぼ合意していたことがあったとされるなど深い関係にある。
同日、都内で会見したコクヨの黒田英邦社長は「ぺんてるとは信頼関係を築けていると感じていた。(第三者との資本提携の動きは)晴天の霹靂(へきれき)」とし「今回の裏切り行為のような意志決定は、今の経営陣とはぺんてるの可能性を伸ばすことができない恐れがあることを示している」と批判した。
一方、ぺんてるはホームページで「一方的かつ強圧的な子会社化方針に強く抗議する」と反発。第三者との協議については「当社の発展のために必要なことであり、自主的な判断で行うべきもの」と、事実上、協議していたことを認めた。
ぺんてる株は非上場。コクヨは株主に呼びかけ、12月15日まで1株3500円で買い付ける。取得数の上限は設定していない。ぺんてる株の譲渡には同社取締役会の承認が必要だが、コクヨは過半数の保有が確約した段階でぺんてるの取締役会に諮り、承認を得るという。
コクヨは5月、海外事業での協業を目指し、ぺんてる株約38%をファンドを介して間接的に取得。事前協議がなかったため、ぺんてるは態度を硬化させていたが、9月には取締役会でコクヨによる株式の直接保有を承認していた。
“強硬手段”で事態の打開を図るコクヨだが、ぺんてるは「他社の支配に服さず独立性を堅持する」と全面対決の構えをみせている。
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