経産省の合意得たものに投資 産業革新投資機構、1年ぶり正常化
官民ファンドの産業革新投資機構は10日、元みずほ証券社長の横尾敬介氏が同日付で社長に就任したと発表した。所管する経済産業省と報酬をめぐる対立で2018年12月に三菱UFJ銀行出身の前社長、田中正明氏(現日本ペイントホールディングス会長)を含む民間出身の取締役9人が辞任し、機構は事実上の活動休止となっていた。約1年ぶりに業務が正常化する。
新体制は経産省が選定した。最高投資責任者(CIO)には東京海上日動火災保険グループで、未公開企業や不動産などへの投資を担当した久村俊幸氏が就任。経産省、財務省からも人材を招き、計4人体制で業務を行う。社外取締役には前経団連会長の榊原定征氏らが加わった。
横尾氏は記者会見で「民間と組んで、新しい事業の基盤を(投資で)作っていく。放っておけば日本の産業は4流、5流国になってしまう」と述べた。
今後の投資については「政策目標が極めて重要」と強調。ファンドの投資スタンスが政策目標と合っているかどうかを経産省と確認し、合意したものだけに投資していくという。収益目標に関しては、「民間ファンドへの投資は別だが、元本割れは避けたい」と話した。
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