イオン、食品ロス削減加速 メーカー21社とタッグ

 
食品廃棄物削減イニシアティブで会見したイオンと食品メーカーの関係者=11日(提供写真)

 まだ食べられる食品を廃棄する「食品ロス」削減に向け、イオンは12月中旬、国内の食品メーカー21社と共同で、製造から小売りまでのサプライチェーン全体で食品ロスを削減する取り組みを加速させると発表した。イオンがメーカー各社の取り組みに必要な情報提供などを行う。2030年までにメーカーの食品ロスの半減を目指す。

 今回の取り組みは、イオンが世界各地の小売企業と共に参画する「10×20×30食品廃棄物削減イニシアティブ」の一環で、「世界の小売企業など10社がそれぞれ20社のサプライヤーと共に、30年までに主要サプライヤーの食品廃棄物半減に取り組む」というもの。9月24日に発足し、イオンのほかウォルマートやカルフールなど11社が主導しており、アジアは唯一、イオンが参画する。

 イオンとイニシアティブに取り組むのは、キリンホールディングス(HD)やサントリーHD、伊藤園などの飲料大手のほか、味の素やキッコーマン、キユーピーなどの調味料メーカーなど計21社。参加各社が自社の課題を踏まえて食品ロス削減の取り組み内容を設定し、イオンが情報提供や販売などで取り組みに貢献する。食品ロス削減につながった取り組みは、世界の参画企業とも共有していくことも検討する。

 国連などによると、世界では9人に1人が十分な栄養を取れない状況にある一方、食品として生産された3分の1に相当する量が廃棄されているとされ、国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、小売り・消費レベルにおける1人当たりの食品ロスを半減させ、サプライチェーンにおける食料の損失を減少させるとしている。

 日本国内でも環境省や農林水産省などによると、年間643万トン(16年度推計)の食品ロスが出ている。

 食品衛生上の懸念に加え、賞味期間の3分の1を超えた食品が小売りに納品されない商慣習が背景にあり、セブン&アイHDやイオングループなどが納品期限を賞味期間の2分の1に緩和するなど商慣習の見直しを進めている。