日本電産、後継者育たず
日本電産が日産自動車の関潤副最高執行責任者(COO)を社長含みで招き入れる背景には、100年に1度とされる自動車産業の大変革を商機と捉え、新たに成長の柱と位置付けている電気自動車(EV)事業を加速させる狙いがある。日本電産の永守重信会長は日本有数のカリスマ経営者であるが故に、後継者がうまく育っていない状況もあるようだ。
永守氏は2018年6月に社長を退き、後任社長に日産出身の吉本浩之氏を充てた。だがその後の業績は振るわず、吉本氏の手腕に物足りなさを感じていたとみられる。永守氏は吉本氏に社長をバトンタッチした後も代表権のある会長にとどまり「権限委譲に10年はかかる」と公言するなど存在感を示していた。
日本電産を一代で売上高1兆円を超す巨大メーカーに育て上げた75歳の永守氏にとって後継者探しは積年の課題だ。かつては経営危機に陥ったシャープから元社長の片山幹雄氏や元副社長の大西徹夫氏を招くなど外部採用も積極的に進めてきたが「ポスト永守」は見つからなかった。
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