渋谷はもう若者だけの街ではない 再開発が見せる「進化のダイナミズム」
【Shibuya進化論(下)】
「入場制限中」の赤い文字が掲出された、20日夕方の渋谷PARCO(パルコ)6階フロア。子供を連れた母親、学生、大きなキャリーケースを携えた外国人観光客らがつくる行列は、下のフロアの階段にまで続いている。彼らが目指す先は、大手ゲームメーカー任天堂の日本初となる直営店「Nintendo TOKYO(ニンテンドー・トーキョー)」だ。
世界的人気ゲームのキャラクターグッズなどが目当てで、この日は入店まで15分待ち。90分以上に及ぶ日もある。11月にリニューアルオープンした渋谷PARCOで、以前では見られなかった光景だという。
多様性と創造的
渋谷駅周辺は再開発に伴い、多くの複合施設などが開業。平成24年の渋谷ヒカリエを皮切りに、渋谷ストリーム、渋谷フクラス、渋谷スクランブルスクエア東棟が続いた。「若者の街」というイメージがある渋谷だが、これらの新規店舗は決して若者向けだけではない。
12月にオープンした東急プラザ渋谷では、「成熟した大人」をターゲットに店舗を展開。東急不動産は「渋谷は路地1本入れば立ち飲み屋があり、さらに奥には高級住宅街の松濤地区など、さまざまな面がある。新しい年齢層を取り込むことで、街の多様性を深められれば」と話す。
取材を進めると、さまざまな人の口から「渋谷は多様性がある」という言葉が出てくる。昭和48年から渋谷に居を構える渋谷PARCOの柏本高志店長は、「それぞれの通りにカルチャーや味わいがあり、ダイバーシティ感(多様性)とクリエーティブ(創造的)なのが渋谷の特徴」という。
渋谷PARCOの6階は「CYBERSPACE SHIBUYA(サイバースペース・シブヤ)」と題したフロアとなっており、「Nintendo TOKYO」のほかに人気ゲーム「ポケモン」「刀剣乱舞」といったゲーム・アニメ関係の店舗が多く入店している。こういったラインアップは従来の渋谷のイメージとは少々異なっている。柏本店長は「アニメなどは既に1つのカルチャーとなっている。そして渋谷だからこそ、他のカルチャーと融合することができる」と説明する。
人も文化も変わる
再開発によってこれまで人があまり訪れなかった地区にも複合施設ができ、人の流れが変わってきた。渋谷駅前エリアマネジメントの東浦亮典代表理事は、今後の渋谷の注目エリアとして、渋谷ストリームが開業した南地区を挙げる。
「面白いことは土地の値段が高すぎるとできないが、南地区は相対的に家賃が安い。歴史は浅いが、特定のイメージがない分、新しいお店ができている」
柏本店長は渋谷の再開発について「次の文化や時代の流れを生み出し、継続的に成長していけるという期待がある。渋谷の魅力が再開発で一層高まっていき、世界に発信できる街になっていく」と語った。
再開発によって建物が変わり、そこに通う人々も変化することで、街の文化も変化する。一大都市の再開発をのぞいてみると、その街の進化のダイナミズムが見えてくるようだ。(吉沢智美)
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