今年は隔年開催のクルマの見本市「東京モーターショー」が開催され、地上数十センチをホーバーしながら走る“空飛ぶバイク”や、ヤマハ発動機が開発した自律走行する四輪駆動のコンセプトカーなど、未来を感じるクルマ(やバイク)が多数登場した。
昨今「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリングサービス、電気自動車)や次世代移動サービス「MaaS」(Mobility as a Service)などの概念に注目が集まる中、自動車メーカー各社はクルマの未来をどのように描いているのか。各社の展示を振り返る。
産業用ドローンの技術を応用した“空飛ぶバイク”
会場でもひときわ目立っていたのが、従来のバイクの概念にとどまらない“空飛ぶバイク”こと「XTURISMO」(エックストゥーリズモ)だ。
産業用ドローンなどを手掛けるベンチャーのA.L.I. Technologies(東京都港区)が開発したもので、年内に予約を始め、2020年に出荷するという。価格は未定。
スポーツカーのようなスタイリッシュなデザインが特徴で、同社が持つ産業用ドローンの技術を応用し、動力には内燃機関を採用した。地上数十センチをホーバーしながら、高速道路を走れる程度の速度を出せるとしている。法整備の問題でまだ私有地しか走れないが、同社は23年には公道走行を実現させたい考えだ。
ヤマハの“謎の四輪駆動車” その正体は
ヤマハ発動機が展示したのは、周囲をセンシングしながら自律走行するという四輪駆動のコンセプトカー「Land Link Concept」。人が乗車できるスペースがない、月面探査ローバのような見た目のクルマは、重い荷物などを運ぶことを想定したものだという。
Land Link Conceptには、周辺の映像から走路や障害物を判別するAIを搭載。胴体のカメラ4台で周囲を撮影し、走路と障害物を検知しながら自律走行する仕組みだ。同社によると、農作業などで重たい作業用資材を、何度も往復して運ばないといけないような場面を想定して開発した。
今後は、GPSの位置情報や、取得した周囲のデータから自己位置の推定と地図作成を行う技術「SLAM」の活用なども視野に入れて実用化を目指す。
スマホで遠隔操作できる自動運転車
本田技研工業(ホンダ)は、車載通信モジュール「Honda CONNECT」を日本初搭載したコンパクトカー「FIT」の新型を公開した。20年2月に発売予定。
スマホアプリで離れた場所から車内のエアコンをオンにしたり、ドアの鍵を掛け忘れた際にアラートを受け取ってロック操作をしたり、駐車位置を確認したりできる。
安全運転支援システム「Honda SENSING」には、フロントワイドビューカメラと近距離衝突軽減ブレーキを追加。前方を広角に検知することや、障害物の見落としがあった際に減速し、衝突を回避することができるようになったという。
日産自動車も、スマホと連携できる電気自動車(EV)のコンセプトカー「ニッサン アリア コンセプト」を展示した。スマホと連携させることで、走行中だけでなく乗車前から降車後までナビゲーションする「ドア ツー ドア ナビゲーション」機能や、クルマに近づくと自動的にロックが解除される機能などが使える。高速道路の同一車線内ではハンドル操作無しで自動走行する「プロパイロット2.0」にも対応する。
ハンドルなし、完全自動運転のコンセプトカー
日野自動車は、用途によってボディーを載せ替えられるクルマのコンセプトモデル「FlatFormer」を世界初公開した。動力部分とボディー部分を分離しており、ボディーを変えることでバスになったり、貨物自動車になったりするというもの。サンライズと共同制作したオリジナルアニメ作品「あの日の心をとらえて」にも登場する。
動力部のプラットフォームには、完全自動運転を可能にする制御ユニット、ステアリング機構やブレーキ、モーターを一体化したフロントの駆動系ユニット、走行用バッテリーなどを採用。ボディー部分は3Dプリントで製作し、スクールバス、飲食物を販売するケータリング車、貨物自動車など目的別に脱着できるという。
実用化のめどは立っていないが、荷物を収納できる「集配ユニット」を多数搭載することで、配達のラストワンマイルを助けるといった使い方もできるとしている。
スズキは、ハンドルがない、完全自動運転のコンセプトカー「ハナレ」を公開。家の「離れ」のようにくつろげる空間を意識し、程よい大きさの室内空間を目指したという。前後対称のデザインで、外寸は3900(全長)×1800(全幅)×1900(全高)ミリ。
トヨタ自動車は、レベル4相当の自動運転技術を備えるコンセプトカー「LQ」を展示。AIエージェントの「YUI」を搭載しており、運転者とコミュニケーションする他、運転者の覚醒状態をモニタリングしてくれるという。レベル4では、高速道路など限定されたエリアで全ての運転制御を車両システムが行う。トヨタは20年に公道で自動運転の体験イベントを行う予定だ。(ITmedia)