立ち仕事、水仕事、接客… 飲食業の課題解決にベンチャー続々

 
コネクテッドロボティクスがイトーヨーカドー幕張店に納入したたこ焼き機(コネクテッドロボティクス提供)

 労働集約型産業の代表格とされる飲食業。長時間の立ち仕事や水仕事、さらには接客も。このため肉体的にも精神的にも負担が大きい。労働環境のきつさから時給を上げてもアルバイトが集まらず、人手不足が深刻だ。そうした飲食業の課題解決に向けて、様々なベンチャー企業が活躍の場を広げている。

 調理ロボット開発のコネクテッドロボティクス(東京都小金井市)は自動たこ焼き機「オクトシェフ」を開発した。生地などの食材の仕込みやトッピングは人手によるが、鉄板への生地の流し込みから焼き上げまでの工程はロボットが担う。人工知能(AI)の一種であるディープラーニング(深層学習)の技術を活用して焼き具合を自動で判定する。1度に12人分(96個)のたこ焼きが焼ける。ロボットが手伝うことで「接客対応や仕込みなどの他の仕事に専念できる」(沢登哲也社長)という。

 QBIT(キュービット)ロボティクス(同千代田区)のロボットを活用した無人カフェは1時間にコーヒーを20杯入れられる。装置の上部にあるビデオカメラで来店客を撮影。性別や年齢、表情などをAIで識別し、来店客ひとりひとりに合わせた声掛けができる。

 両社とも、様々な種類の食べ物などに対応できるよう顧客の求めに応じてシステムを組み上げられるのが強み。例えばコネクテッドはロボットを使ったそば屋システムを開発し、JR東日本の協力を得てJR東小金井駅(小金井市)で近く実証実験を行うほか、QBITもロボットによる無人パスタ店のシステムを開発している。

QBITロボティクスによるロボットを使った無人カフェ=東京都千代田区(松村信仁撮影)

 一方、飲食店の接客を支援する技術も進化している。IT(情報技術)ベンチャーのショーケースギグ(東京都港区)は、スマートフォン(高機能携帯電話)から事前に注文する仕組み「モバイルオーダー」を開発。これまでに1200以上の店舗で導入されている。このほどNTTドコモと資本業務提携し、ドコモのスマホ決済サービス「d決済」と連携し、今春以降には飲食店などで利用できるようにする計画だ。

 ITベンチャーのイデア・レコード(同新宿区)は、予約や問い合わせに特化した飲食店向け包括ソリューション(課題の解決)サービス「ゲート」を昨秋に投入。予約受け付け代行や従業員の勤怠管理などのシステムをまとめた。トレタ(同品川区)も予約管理システムを開発している。

 飲食業界特化した求人サービスを手がける会社もある。クックビズの求人サイト「クックビズ」には首都圏や近畿地方を中心に5万件近くの求人情報が紹介されている。(松村信仁)