寒気南下せず…記録的雪不足に困った 滑れないスキー場が3割も

 
雪不足のため、今季の営業を断念した福井県勝山市の雁が原スキー場=22日

 雪不足で、ウインタースポーツの国際大会中止などが相次いでいる今冬。3割近いスキー場が“稼働”しないだけでなく、各地の雪のイベントも中止になり、「残念だ」などの声も上がっている。暖冬の原因は、北極の寒気が南下しないことのようだが、気象庁の予報では今後1カ月、全国的におおむね気温が高い状態が続くとみられている。

 こんな事態は初めて

 「30年ほど前からやっているが、こんな事態は初めて。楽しみにしている人も多かったのに残念」

 北海道美幌(びほろ)町で26日に開催が予定されていた「びほろ冬まつり」の担当者は、こう嘆く。約30年前から毎年実施されてきた「まつり」は、町内から集めた雪でつくるステージや高さ約3メートルの滑り台が人気だったが、今年は雪が足りず、中止になった。

 ほかにも北海道では、紋別(もんべつ)市で来月予定されている「もんべつ流氷まつり」も、毎年制作されてきた雪を使った巨大迷路が取りやめ。網走市の「あばしりオホーツク流氷まつり」も雪像の制作が中止になった。

 冬のリゾート地でも、悲鳴が上がっている。気象予報会社「ウェザーニューズ」(千葉市)が気象情報の提供などで提携する全国約400カ所のスキー場に調査したところ、滑走できないスキー場は今月21日現在で27・0%に達していた。中でも北陸地方が深刻で、85・0%のスキー場が滑走できない状態という。

 気象庁によると、12月の降雪量は北日本の日本海側で平年の47%、西日本の日本海側では0%。平均気温も例年より高く、東海で1・8度、関東甲信、北陸、九州の北部、南部と奄美で1・4度高かった。例年であれば、12月の気温が高くても年明けから下がるが、今年は1月に入っても下がらない状態が続く。

 気象予報会社「ウェザーマップ」の気象予報士、片山由紀子氏は「北極にある寒気が、例年であれば日本列島近くまで南下してくるが、今年は降りてこない」と原因を分析する。気象庁の分析では、日本列島付近で偏西風が例年より北側を流れていることで寒気が日本付近まで南下しない上、暖かい南風が吹くこともあって、気温が下がらない状態となっている。

 気象庁が今月16日に公表した1カ月後までの見通しでは、平均気温は全国で平年よりも「高い」としており、降雪量も北日本、東日本、西日本の日本海側で平年より「少ない」という。

 東京五輪に影響も

 雪不足は、今夏の東京五輪を盛り上げる催しにも影響を及ぼす可能性が出ている。さいたま市を会場とするサッカーとバスケットボールでは、冬の間に新潟県南魚沼市で降った雪を保存し、暑さ対策で観客に配布することが計画されているが、南魚沼市では思うように雪が積もっていない。

 毎年、1月中旬~2月中旬ごろが一番雪が降り、この時期に1~1・5メートル程度の積雪があるというが、積雪を集める予定の場所では22日現在で15センチほど。市の担当者は「雪が集まらないということになれば、山の標高の高いところから持ってきたり、春に除雪した雪を集めたり、対策が必要になる」と不安を募らせる。

 もちろん天気だから予想外のこともある。気象予報士の片山氏は「平成28年は今年と同様に暖かい日が続いた後、1月末に急に寒くなった。急に寒くなる可能性もある」とも話す。